敗血症性ショックから播種性血管内凝固症候群に陥った肝inflammatory pseudotumorの1例

敗血症性ショック, 播種性血管内凝固症候群 (disseminated intravascular coagulation;以下, DICと略記) を合併した肝inflammatory pseudotumor (以下, IPTと略記) の1例を報告する. 症例は51歳の女性で, 発熱と右李肋部痛を主訴に近医を受診. 腹部CTで肝右葉に腫瘤を指摘され当院入院となった. 来院時血圧77/51mmHg, 血液検査で血小板数低下とFDP上昇を認めDICに陥っていた. 腹部超音波検査, CT, MRIで肝右葉に径8cm大の充実性腫瘤を認め, 肝動脈血管造影では腫瘍濃染像, 門脈右前区域枝の途絶を認めた....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 666 - 671
Main Authors 菊池, 寛, 平野, 拓司, 佐々木, 崇, 岩見, 大二, 望月, 泉, 佐熊, 勉, 中野, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.666

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Summary:敗血症性ショック, 播種性血管内凝固症候群 (disseminated intravascular coagulation;以下, DICと略記) を合併した肝inflammatory pseudotumor (以下, IPTと略記) の1例を報告する. 症例は51歳の女性で, 発熱と右李肋部痛を主訴に近医を受診. 腹部CTで肝右葉に腫瘤を指摘され当院入院となった. 来院時血圧77/51mmHg, 血液検査で血小板数低下とFDP上昇を認めDICに陥っていた. 腹部超音波検査, CT, MRIで肝右葉に径8cm大の充実性腫瘤を認め, 肝動脈血管造影では腫瘍濃染像, 門脈右前区域枝の途絶を認めた. 穿刺吸引細胞診で多数のリンパ球・好中球を認めるが悪性所見は認められず, 吸引内容の細菌培養ではStreptococcus speciesが検出された.以上の所見より, IPTを疑い抗生物質による保存的療法を開始したが効果がなく, 肝右葉切除・胆嚢摘出術を施行した. 腫瘤は黄白色の充実性腫瘍であり, ところどころに膿瘍形成を認めた. 組織所見でxanthogranuloma typeの肝IPTと診断された. 術後経過は良好で3年経過した現在再発徴候を認めない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.666