大腸癌肝転移切除後予防的肝動注療法の臨床的意義
大腸癌肝転移に対する肝切除後の予防的動注療法の意義について検討を加えた. 大腸癌肝転移104例のうち原発・肝転移単共に完全切除しえた46例を対象とした. 予防的動注群18例と非動注群28例で生存率を比較すると有意に予防的動注群が予後良好であった. 予防的動注群の無再発生存率は良好な傾向にあり, 残肝再発をきたした症例でも予防的動注群で残肝再発までの期間が有意に延長していた.また, 肝切除後の残肝・肺再発率はほぼ同等であったが, 肝切除後の初回再発様式で予防的動注群のすべてが根治可能再発であったのに対し, 非動注群では根治困難再発または肝門部リンパ節+残肝再発が多く再肝切除率が低下していた. そ...
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| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 2; pp. 169 - 175 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2000
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| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.33.169 |
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| Summary: | 大腸癌肝転移に対する肝切除後の予防的動注療法の意義について検討を加えた. 大腸癌肝転移104例のうち原発・肝転移単共に完全切除しえた46例を対象とした. 予防的動注群18例と非動注群28例で生存率を比較すると有意に予防的動注群が予後良好であった. 予防的動注群の無再発生存率は良好な傾向にあり, 残肝再発をきたした症例でも予防的動注群で残肝再発までの期間が有意に延長していた.また, 肝切除後の残肝・肺再発率はほぼ同等であったが, 肝切除後の初回再発様式で予防的動注群のすべてが根治可能再発であったのに対し, 非動注群では根治困難再発または肝門部リンパ節+残肝再発が多く再肝切除率が低下していた. その他, 残肝再発例のCEA doubling timeは動注療法によって有意に延長した. 以上より大腸癌肝転移切除後の予防的動注療法は, 腫瘍の発育速度・再発量を抑え, 残肝再発までの期間を延長させ, 結果的に再肝切除率を高めることが示唆された. |
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.33.169 |