内頚静脈穿刺による逆行性脳灌流法 2機能を有する新型カテーテルの開発

現在我々は、弓部大動脈再建の際の補助手段として内頚静脈穿刺による逆行性脳灌流を行っている。この方法では、送血用カテーテルおよび上大静脈閉塞用バルーンカテーテルを内頚静脈から挿入留置し、逆行性脳灌流時にバルーンを拡張して上大静脈を閉塞することによって、少ない流量で安定した灌流が可能である。術前手技としては繁雑であるため本研究では、1本で送血と閉塞の2機能を備えた新型カテーテルを開発した。新型カテーテルは、先端に上大静脈閉塞用のバルーンが組み込まれ、バルーン近位側に送血用の側孔が開けてある。模擬循環回路を用い常温水を灌流したところ、流量の増加(0-400ml/min)にほぼ比例して送血ライン内圧は...

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Published in人工臓器 Vol. 26; no. 3; pp. 596 - 600
Main Authors 戸田, 省吾, 北浦, 一弘, 佐藤, 伸一, 平井, 二郎, 相馬, 彰, 和田, 行雄, 岡, 隆宏, 土井, 潔, 圓本, 剛司, 小野, 眞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.06.1997
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.26.596

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Summary:現在我々は、弓部大動脈再建の際の補助手段として内頚静脈穿刺による逆行性脳灌流を行っている。この方法では、送血用カテーテルおよび上大静脈閉塞用バルーンカテーテルを内頚静脈から挿入留置し、逆行性脳灌流時にバルーンを拡張して上大静脈を閉塞することによって、少ない流量で安定した灌流が可能である。術前手技としては繁雑であるため本研究では、1本で送血と閉塞の2機能を備えた新型カテーテルを開発した。新型カテーテルは、先端に上大静脈閉塞用のバルーンが組み込まれ、バルーン近位側に送血用の側孔が開けてある。模擬循環回路を用い常温水を灌流したところ、流量の増加(0-400ml/min)にほぼ比例して送血ライン内圧は上昇(16-118mmHg)した。同じ回路を用い希釈血液を流量400ml/minで120分間灌流したところ、明かな溶血やキャビテーションの発生を認めなかった。臨床応用においては、バルーンと側孔をそれぞれ正確に上大静脈と内頚静脈に位置させるために、カテーテルの側孔の位置およびシースの長さの改良が必要であると考えられる。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.26.596