閉塞性黄疸をきたした胆管内発育型肝細胞癌の1切除例

症例は64歳の男性. 心窩部痛と黄疸を主訴として来院した. 1985年に胆嚢総胆管結石にて手術施行. ウイルス肝炎マーカーは陰性で, AFP 43ng/ml, CA19-9 894U/ml, DUPAN2 470U/ml, PIVKA-2 13.1AU/ml であった. 腹部USでは, 肝内胆管の拡張と肝門部に高エコーな腫瘤を認め, 経皮経肝胆道ドレナージを施行した. 胆管造影では, 肝門部左肝管から, 右肝管, 総肝管, 総胆管にかけ陰影欠損を認めた. CTでは, S4に不均一に造影されるSOLを, 拡張した総胆管内部に, 一部造影される腫瘤を認めた. 腹腔動脈造影では, 肝動脈内側枝にわず...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 287 - 291
Main Authors 岡田, 祐二, 田中, 守嗣, 竹山, 廣光, 真下, 啓二, 早川, 哲史, 真辺, 忠夫, 山本, 稔, 赤毛, 義実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2002
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.35.287

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Summary:症例は64歳の男性. 心窩部痛と黄疸を主訴として来院した. 1985年に胆嚢総胆管結石にて手術施行. ウイルス肝炎マーカーは陰性で, AFP 43ng/ml, CA19-9 894U/ml, DUPAN2 470U/ml, PIVKA-2 13.1AU/ml であった. 腹部USでは, 肝内胆管の拡張と肝門部に高エコーな腫瘤を認め, 経皮経肝胆道ドレナージを施行した. 胆管造影では, 肝門部左肝管から, 右肝管, 総肝管, 総胆管にかけ陰影欠損を認めた. CTでは, S4に不均一に造影されるSOLを, 拡張した総胆管内部に, 一部造影される腫瘤を認めた. 腹腔動脈造影では, 肝動脈内側枝にわずかにtumor stainを認めた. 肝門部胆管癌と診断し, 左尾状葉合併肝左葉切除術を施行したところ, 術後病理組織学的検査でS4原発の肝細胞癌と判明した. 本症例はいわゆる胆管内発育型肝細胞癌であるが, 肝切除例の報告は比較的少ない. 根治手術により予後の向上が期待できるものと思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.35.287