小児用人工血管の開発 移植後口径の拡大可能

幼小児の大血管に対する人工血管置換術は幼小児の成長に伴い、人工血管の口径が相対的に小さくなるため容易には行えない。今回平織りの人工血管で円周方向の捻糸を強さの違う二種類のポリエステル繊維で構成して口径を必要なときに経皮的血管形成術(PTA)で拡大できる人工血管を開発した。この人工血管はex vivoで1.5~1.75倍の口径に拡大することが判明し、さらに初期内径6mmの人工血管を雑種成犬の胸部大動脈に移植し、3カ月後PTAを行った。PTAは15気圧の内圧負荷で行った。人工血管周囲には軽度の血腫を認めたが出血量は軽微であり、拡張術は安全に行うことができると考えられた。この人工血管は幼小児の大血管...

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Published in人工臓器 Vol. 23; no. 3; pp. 752 - 756
Main Authors 岡, 隆宏, 丹生, 智史, 神田, 圭一, 渡辺, 幸二, 佐藤, 伸一, 和田, 行雄, 平井, 二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.06.1994
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.23.752

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Summary:幼小児の大血管に対する人工血管置換術は幼小児の成長に伴い、人工血管の口径が相対的に小さくなるため容易には行えない。今回平織りの人工血管で円周方向の捻糸を強さの違う二種類のポリエステル繊維で構成して口径を必要なときに経皮的血管形成術(PTA)で拡大できる人工血管を開発した。この人工血管はex vivoで1.5~1.75倍の口径に拡大することが判明し、さらに初期内径6mmの人工血管を雑種成犬の胸部大動脈に移植し、3カ月後PTAを行った。PTAは15気圧の内圧負荷で行った。人工血管周囲には軽度の血腫を認めたが出血量は軽微であり、拡張術は安全に行うことができると考えられた。この人工血管は幼小児の大血管に対する人工血管置換に臨床応用可能であると思われた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.23.752