脈絡膜転移を伴った肺癌の1例

脈絡膜転移を伴った肺癌の1例を経験した. 症例は72歳, 女性. 入院の2ヵ月前から以前にはなかった飛蚊症を両眼に自覚していた. 近医で胸部X線上左S3に腫瘤影を指摘され, 当院へ紹介された. 経皮吸引細胞診にて肺癌 (低分化型扁平上皮癌) と診断した. 全身検索では転移性脈絡膜腫瘍と転移性腎腫瘍を多発性に認めた. 全身化学療法を施行し, 原発巣が縮小するにつれ, 脈絡膜腫瘍も縮小し, 飛蚊症は自覚しなくなった. 転移性脈絡膜腫瘍は臨床的に稀であるが, その原発部位として肺癌は乳癌とともに頻度が高く, 転移の一形式として注目すべきである. 肺癌の診療にあたる際は飛蚊症をはじめとして患者の眼症状...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 674 - 677
Main Authors 種田, 和清, 田口, 善夫, 井上, 哲郎, 松村, 栄久, 郷間, 厳, 富井, 啓介, 郡, 義明, 小橋, 陽一郎, 高野, 義久, 三野, 眞里
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.06.1995
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.33.674

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Summary:脈絡膜転移を伴った肺癌の1例を経験した. 症例は72歳, 女性. 入院の2ヵ月前から以前にはなかった飛蚊症を両眼に自覚していた. 近医で胸部X線上左S3に腫瘤影を指摘され, 当院へ紹介された. 経皮吸引細胞診にて肺癌 (低分化型扁平上皮癌) と診断した. 全身検索では転移性脈絡膜腫瘍と転移性腎腫瘍を多発性に認めた. 全身化学療法を施行し, 原発巣が縮小するにつれ, 脈絡膜腫瘍も縮小し, 飛蚊症は自覚しなくなった. 転移性脈絡膜腫瘍は臨床的に稀であるが, その原発部位として肺癌は乳癌とともに頻度が高く, 転移の一形式として注目すべきである. 肺癌の診療にあたる際は飛蚊症をはじめとして患者の眼症状にも気をつける必要があると考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.33.674