大腸癌進展におけるinterleukin-6の検討 悪性度指標としての意義

目的: Interleukin-6 (IL-6) の血中レベルと大腸癌のリンパ節転移・肝転移との関連性および予後に及ぼす影響を検討し, IL-6の悪性度指標としての意義を明らかにする. 方法: 大腸癌65例を対象とし, 健常者20例を対照とした. IL-6の術前血清値 (pg/ml) について1) Dukes分類, 2) リンパ節転移 (n), 3) 肝転移 (H'), 4) IL-6関連サイトカイン, 5) 転移関連接着因子との関連性を検討した. 6) 非リンパ節転移・非肝転移群25 例のIL-6値 (平均値+2SD) より仮のカットオフ値 (5.81) を設定し, 2群間の累積生...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 656 - 662
Main Authors 瀧本, 雅文, 山崎, 達之, 小柳, 泰久, 葦沢, 龍人, 丸山, 祥司, 青木, 達哉, 青木, 利明, 寿美, 哲生, 高木, 眞人, 冨岡, 英則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.656

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Summary:目的: Interleukin-6 (IL-6) の血中レベルと大腸癌のリンパ節転移・肝転移との関連性および予後に及ぼす影響を検討し, IL-6の悪性度指標としての意義を明らかにする. 方法: 大腸癌65例を対象とし, 健常者20例を対照とした. IL-6の術前血清値 (pg/ml) について1) Dukes分類, 2) リンパ節転移 (n), 3) 肝転移 (H'), 4) IL-6関連サイトカイン, 5) 転移関連接着因子との関連性を検討した. 6) 非リンパ節転移・非肝転移群25 例のIL-6値 (平均値+2SD) より仮のカットオフ値 (5.81) を設定し, 2群間の累積生存率を全症例およびステージ別(III, IV) に比較した. 7) 腫瘍組織におけるIL-6の発現性を検索した. 結果: 1) Dukes C群, D群のIL-6平均値 (7.12, 18.57)は, 対照群 (1.05) と比較して有意に高値であった. 2) IL-6値とリンパ節転移度および肝転移の有無の間に有意な相関を認め, n2, 3 (+) 群の平均値 (10.20, 14.23) は, n (-) 群 (3.27) と比較して有意に高値であった. また, H'(+) 群の平均値 (18.57) はH0'群 (4.93) と比較して有意に高値であった. 3) IL-6値とHGF, ICAM-1, VCAM-1, E-selectinとの間に有意な相関を認めた. 4) IL-6値5.81以上を陽性とした場合, 全症例およびステージ別比較においてIL-6 高値群の累積生存率は低値群に比べ有意に不良であった. 5) IL-6 25pg/ml以上の全症例の腫瘍細胞質にIL-6の陽性所見を認めた. 結論: IL-6は大腸癌のリンパ節転移・肝転移成立に促進的に関与することが示唆され, その血清値は予後をよく反映し悪性度指標になりえる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.656