携帯式持続腹膜透析施行患者に発症した大腸穿孔性腹膜炎の1例

症例は63歳の女性で, 腎硬化症による慢性腎不全にて4年前より携帯式持続性腹膜透析 (以下, continuous ambulatory peritoneal dialysis: CAPD) を施行中であった. 下血を伴う腹痛にて本院受診した. 当初はCAPD腹膜炎と診断し保存的治療を開始したが症状の改善がないため, 消化管穿孔を疑い腹部CTを施行した. 同検査にて腹腔内free airや腹水貯留を認めるもCAPD液交換の際に流入したものとの鑑別ができず, また腹部所見も比較的乏しかったことから穿孔性腹膜炎の確定診断には至らなかった. しかし, 翌日のCAPD排液中に食物残査混入を認めたため,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 390 - 394
Main Authors 熊沢, 伊和生, 浅野, 雅嘉, 名和, 正人, 立花, 進, 土屋, 十次, 川越, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.390

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Summary:症例は63歳の女性で, 腎硬化症による慢性腎不全にて4年前より携帯式持続性腹膜透析 (以下, continuous ambulatory peritoneal dialysis: CAPD) を施行中であった. 下血を伴う腹痛にて本院受診した. 当初はCAPD腹膜炎と診断し保存的治療を開始したが症状の改善がないため, 消化管穿孔を疑い腹部CTを施行した. 同検査にて腹腔内free airや腹水貯留を認めるもCAPD液交換の際に流入したものとの鑑別ができず, また腹部所見も比較的乏しかったことから穿孔性腹膜炎の確定診断には至らなかった. しかし, 翌日のCAPD排液中に食物残査混入を認めたため, 穿孔性腹膜炎と確定診断され緊急開腹術を施行した. 開腹すると, 横行結腸に穿孔を認め汎発性腹膜炎を呈していた. 穿孔部結腸部分切除および人工肛門造設術を施行した.術後は敗血症から重度多臓器機能障害へ陥ったが, エンドトキシン吸着, 持続濾過透析, 血漿交換, ビリルビン吸着などを施行し救命しえた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.390