Cushing 症候群を合併したACTH産生肺小細胞癌の1例
症例は70歳の女性. 咳, 呼吸困難を主訴に入院. 胸部レ線および胸部CTにて左肺門部に腫瘤陰影を認め, 気管支鏡検査にて肺小細胞癌と診断された. 入院時より血中ACTH (2,000pg/ml), Cortisol (171.9μg/dl), 尿中17-OHCS (67mg/day) の高値, 低カリウム血症, アルカローシス, 高血糖, 中心性肥満, 全身の色素沈着が認められ典型的な Cushing 症候群と考えられた. さらに, 転移リンパ節生検標本の抗ACTH抗体による免疫染色の結果より, ACTH産生肺小細胞癌と診断された. VP-16およびCBDCA (またはCDDP) 併用による...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 220 - 225 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.02.1996
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Subjects | |
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ISSN | 0301-1542 1883-471X |
DOI | 10.11389/jjrs1963.34.220 |
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Summary: | 症例は70歳の女性. 咳, 呼吸困難を主訴に入院. 胸部レ線および胸部CTにて左肺門部に腫瘤陰影を認め, 気管支鏡検査にて肺小細胞癌と診断された. 入院時より血中ACTH (2,000pg/ml), Cortisol (171.9μg/dl), 尿中17-OHCS (67mg/day) の高値, 低カリウム血症, アルカローシス, 高血糖, 中心性肥満, 全身の色素沈着が認められ典型的な Cushing 症候群と考えられた. さらに, 転移リンパ節生検標本の抗ACTH抗体による免疫染色の結果より, ACTH産生肺小細胞癌と診断された. VP-16およびCBDCA (またはCDDP) 併用による化学療法が施行され, 腫瘍は著明に縮小した. 腫瘍の縮小に伴い, 血中ACTHおよび, Cortisol は正常域に回復し, 色素沈着も消退した. 本症例は以後, 同併用化学療法を計6回施行し, 最終的にCRとなった. 一般に Cushing 症候群を合併した肺小細胞癌は易感染性で化学療法の効果が期待しにくいと言われるが, 本症例は化学療法が著効した症例であった. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.34.220 |