グアニジノ化合物の経時的変動よりみた短時間透析の検討

血液透析患者21名を対象に, 一般血清生化学検査に加え, グアニジノ化合物濃度を測定し, 透析時間による臨床的影響の判断におけるパラメーターとなり得るかどうかを検討した. その結果, 1) 一般血清生化学検査値の中では, BUN, creatinineおよびUAの透析4時間値と5時間値の間に有意差があったが (p<0.05), 4.5時間値と5時間値の間に有意差はなかった. 2) 週30分間透析時間を短縮したが, その前後3カ月間のデータ集計では, 透析前の血清creatinine値は6例中5例で有意に増加し (p<0.005), BUNも2例で有意に増加した. 3) 血清および全...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 20; no. 9; pp. 685 - 690
Main Authors 長谷川, 寛, 水野, 雅夫, 三戸部, 京子, 池亀, 守, 川島, 司郎, 藤城, 敏高, 柳井, 利之, 三浦, 信彦, 小川, 正, 小島, 邦義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.09.1987
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.20.685

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Summary:血液透析患者21名を対象に, 一般血清生化学検査に加え, グアニジノ化合物濃度を測定し, 透析時間による臨床的影響の判断におけるパラメーターとなり得るかどうかを検討した. その結果, 1) 一般血清生化学検査値の中では, BUN, creatinineおよびUAの透析4時間値と5時間値の間に有意差があったが (p<0.05), 4.5時間値と5時間値の間に有意差はなかった. 2) 週30分間透析時間を短縮したが, その前後3カ月間のデータ集計では, 透析前の血清creatinine値は6例中5例で有意に増加し (p<0.005), BUNも2例で有意に増加した. 3) 血清および全血中のグアニジノコハク酸, メチルグアニジンは, 4時間値に比べ5時間値では, 低下傾向はあったが有意差はなかった. 4) Creatinineの経口負荷によりメチルグアニジンは約2倍に増加した. その後の透析においても4時間値と5時間値の間に有意差はなかったが, 5時間値でも非負荷時の約2倍の値を示し, 透析効率はクレアチニンよりも低かった. 以上の事より, 通常の血液透析法による短時間透析では, メチルグアニジンの蓄積が生ずる可能性が示され, 長期間の観察が必要と思われる. またメチルグアニジンの毒性を重要視するならば, protein permeable HDFのような血液浄化法で透析時間の短縮を図った方が良いと思われた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.20.685