食道癌術後の酸素運搬量の動態と重症合併症の関連

食道癌術後早期の酸素運搬量と術後合併症の関連を右開胸切除食道癌133例を用いて検討した.前期94例の検討では, 縫合不全, 呼吸不全および入院死亡例の術後6時間の酸素運搬量は合併症がない症例に比べて有意に低下していたが1病日以降では差を認めず, 術後6時間の酸素運搬量の低下と以後の合併症発生の関連が示唆された.後期39例では術後12時間以内の酸素運搬量を600ml/min/m2以上に維持するように循環管理を行った.その結果, 縫合不全は前期28.7%から後期10.3%に, 呼吸不全は19.1%から5.1%に減少し, 入院死亡は前期8.5%に対して後期では認められなかった.食道癌切除術における術...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 815 - 822
Main Authors 夏越, 祥次, 愛甲, 孝, 草野, 力, 島田, 麻里緒, 高尾, 尊身, 白尾, 一定, 馬場, 政道, 福元, 俊孝, 実, 操二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1997
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.30.815

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Summary:食道癌術後早期の酸素運搬量と術後合併症の関連を右開胸切除食道癌133例を用いて検討した.前期94例の検討では, 縫合不全, 呼吸不全および入院死亡例の術後6時間の酸素運搬量は合併症がない症例に比べて有意に低下していたが1病日以降では差を認めず, 術後6時間の酸素運搬量の低下と以後の合併症発生の関連が示唆された.後期39例では術後12時間以内の酸素運搬量を600ml/min/m2以上に維持するように循環管理を行った.その結果, 縫合不全は前期28.7%から後期10.3%に, 呼吸不全は19.1%から5.1%に減少し, 入院死亡は前期8.5%に対して後期では認められなかった.食道癌切除術における術後早期の酸素運搬量の値は術後の縫合不全, 呼吸不全さらに入院死亡発生と密接な関連をもつと同時に, 術後12時間以内の酸素運搬量の増加は重症合併症予防の有用な手段となると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.30.815