所属リンパ節にサルコイド反応を伴った肝細胞癌の1例

症例は67歳の男性で, 10年前よりC型慢性肝炎にて通院中, 2003年8月腰背部痛が出現したため当院を受診した. AFPが60ng/mlと高値で, 腹部USにて肝S5に4cm大の高エコー腫瘍を認めた. 造影CTでは辺縁のみ造影され, 総肝動脈, 下大静脈周囲リンパ節腫大もみられた.上部・下部消化管に癌病変なく, 肺・縦隔にも異常所見はなかった. 腹部血管造影検査でS5に腫瘍濃染像がみられ, CT-APにてperfusion defectを呈し肝細胞癌と診断, TAEを施行した. しかし, 壊死効果不十分であったため, 開腹下にマイクロ波凝固療法およびリンパ節摘出術を行った. 肝腫瘍は生検にて...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 271 - 276
Main Authors 山田, 忍, 鄭, 聖華, 康, 純明, 竹内, 一浩, 新田, 敦範, 田中, 肇, 渋谷, 雅常, 村田, 哲洋, 金村, 洙行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.271

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Summary:症例は67歳の男性で, 10年前よりC型慢性肝炎にて通院中, 2003年8月腰背部痛が出現したため当院を受診した. AFPが60ng/mlと高値で, 腹部USにて肝S5に4cm大の高エコー腫瘍を認めた. 造影CTでは辺縁のみ造影され, 総肝動脈, 下大静脈周囲リンパ節腫大もみられた.上部・下部消化管に癌病変なく, 肺・縦隔にも異常所見はなかった. 腹部血管造影検査でS5に腫瘍濃染像がみられ, CT-APにてperfusion defectを呈し肝細胞癌と診断, TAEを施行した. しかし, 壊死効果不十分であったため, 開腹下にマイクロ波凝固療法およびリンパ節摘出術を行った. 肝腫瘍は生検にて低分化型肝細胞癌と診断され, 摘出したリンパ節に類上皮細胞肉芽腫と転移巣が混在して認められた. 術後約2年健存中である. 悪性腫瘍の数%にサルコイド反応がみられ本邦では胃癌, 肺癌に多いとされているが, 肝細胞癌に伴った報告は自験例を含め5例とまれであり文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.271