二次性肺高血圧症の循環動態におよぼす酸素および Nifedipine の効果 慢性肺気腫症例と肺結核症例の検討

肺高血圧を呈する慢性呼吸不全患者 (肺気腫症 (CPE), 結核症 (TB)) の循環動態におよぼす, 酸素および nifedipine の急性効果を検討した. 酸素投与時, 平均肺動脈圧, 肺血管抵抗は両群とも有意に低下し, 他の循環諸量は不変だった. nifedipine 投与時, 両群とも肺血管抵抗の低下, 心係数, 体酸素供給量の増加を認めたが, 平均肺動脈圧は不変であり, 酸素追加によりCPE群では有意に下降したのに対し, TB群ではなお不変だった. 肺循環駆動圧と心係数の関係は, 両者併用時, CPE群で右下方に向かうのに対し, TB群では右上方に向かった. 両群の差は, 肺高血圧...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 24; no. 9; pp. 943 - 950
Main Authors 桑島, 核, 田中, 美奈子, 坂本, 久仁代, 大宮, 博士, 長谷部, 直幸, 坂井, 英一, 小野寺, 壮吉, 本田, 泰人, 池田, 裕次
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.09.1986
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.24.943

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Summary:肺高血圧を呈する慢性呼吸不全患者 (肺気腫症 (CPE), 結核症 (TB)) の循環動態におよぼす, 酸素および nifedipine の急性効果を検討した. 酸素投与時, 平均肺動脈圧, 肺血管抵抗は両群とも有意に低下し, 他の循環諸量は不変だった. nifedipine 投与時, 両群とも肺血管抵抗の低下, 心係数, 体酸素供給量の増加を認めたが, 平均肺動脈圧は不変であり, 酸素追加によりCPE群では有意に下降したのに対し, TB群ではなお不変だった. 肺循環駆動圧と心係数の関係は, 両者併用時, CPE群で右下方に向かうのに対し, TB群では右上方に向かった. 両群の差は, 肺高血圧成立機転の相違および病歴の長さに基づくものと考えられ, TB群では肺血管床の絶対的減少ないしは, 反応性の減弱が示唆された. 慢性呼吸不全患者の肺高血圧症において, 酸素および nifedipine による循環動態変化が, 肺高血圧成立機転の相違を反映し得ることが示唆された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.24.943