食道癌副腎転移の1切除例

症例は67歳の男性. 1997年8月26日, Mt-Ltの長径13cm, 2型食道癌に対し右開胸開腹食道亜全摘, 2領域リンパ節郭清 (D2), 胸骨後頸部食道胃管吻合術を施行し, 病理組織所見では低分化型扁平上皮癌, pT3N2M0→pStage IIIであった. 1998年4月にSCC値の上昇および腹部CTにて左副腎に直径5.5cmの低吸収域を認め, 画像上単独副腎転移と診断し, 食道手術後10か月に左副腎摘出術を施行した. 腫瘍は弾性硬で大きさは6.5×5.5×4.0cmで, その割面は白色充実性で病理組織学的に食道癌組織所見と類似し副腎転移と診断された. 術後1年2か月の現在再発の徴候...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 721 - 724
Main Authors 三宅, 洋, 杉谷, 雅彦, 福澤, 正洋, 天野, 定雄, 藤井, 宏, 朴, 英智, 加納, 久雄, 秦, 怜志, 桜井, 健一, 大井田, 尚継
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2000
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.33.721

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Summary:症例は67歳の男性. 1997年8月26日, Mt-Ltの長径13cm, 2型食道癌に対し右開胸開腹食道亜全摘, 2領域リンパ節郭清 (D2), 胸骨後頸部食道胃管吻合術を施行し, 病理組織所見では低分化型扁平上皮癌, pT3N2M0→pStage IIIであった. 1998年4月にSCC値の上昇および腹部CTにて左副腎に直径5.5cmの低吸収域を認め, 画像上単独副腎転移と診断し, 食道手術後10か月に左副腎摘出術を施行した. 腫瘍は弾性硬で大きさは6.5×5.5×4.0cmで, その割面は白色充実性で病理組織学的に食道癌組織所見と類似し副腎転移と診断された. 術後1年2か月の現在再発の徴候なく社会復帰している. 食道癌切除後の副腎転移は切除不能のことが多くその予後は著しく不良であり, 切除しえた本邦報告例は自検例が2例目であった. 副腎以外に転移巣が認められず切除可能な場合には積極的な切除の意義があると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.33.721