S状結腸間膜裂孔ヘルニアの1例

内ヘルニアは, 腸間膜または腹膜の欠損部に臓器が嵌入するまれな疾患である. 特徴的な症状がないためイレウスの診断で開腹手術を施行され確定診断にいたることが多い. 症例は69歳の男性で, S状結腸間膜の異常裂孔に小腸が嵌入していた. 術前に内ヘルニアによるイレウスとの確定診断は出来なかったが, 腹部CTでは小腸がS状結腸の外側 (左側) に位置しているなど, 大腸および小腸の位置異常の所見があった. 開腹手術の既往がないイレウス症例においては常に内ヘルニアの存在を念頭に置く必要があると思われた. S状結腸間膜に関連した内ヘルニアは本邦では自験例を含めて43例の報告を確認したが, その1亜型である...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 5; pp. 510 - 514
Main Authors 安藤, 善郎, 土屋, 敦雄, 遠藤, 良幸, 竹之下, 誠一, 中村, 泉, 吉田, 典行, 大木, 進司, 小野木, 仁, 滝田, 賢一, 関川, 浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2001
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.34.510

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Summary:内ヘルニアは, 腸間膜または腹膜の欠損部に臓器が嵌入するまれな疾患である. 特徴的な症状がないためイレウスの診断で開腹手術を施行され確定診断にいたることが多い. 症例は69歳の男性で, S状結腸間膜の異常裂孔に小腸が嵌入していた. 術前に内ヘルニアによるイレウスとの確定診断は出来なかったが, 腹部CTでは小腸がS状結腸の外側 (左側) に位置しているなど, 大腸および小腸の位置異常の所見があった. 開腹手術の既往がないイレウス症例においては常に内ヘルニアの存在を念頭に置く必要があると思われた. S状結腸間膜に関連した内ヘルニアは本邦では自験例を含めて43例の報告を確認したが, その1亜型であるS状結腸間膜裂孔ヘルニアは自験例が11例目でありまれな症例と思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.34.510