胃切除後の胆管結石症に対する腹腔鏡下手術例の検討
はじめに: 胃切除後の胆管結石症の治療に際しては, 消化管再建のため経乳頭的アプローチが困難な例も多く, 手術的治療のウエイトが大きくなる. 方法: 腹腔鏡下手術を試みた胃切除の既往を有する胆管結石症19例の成績を検討した. 成績: 15例で腹腔鏡下切石に成功した. 既往胃手術の内容は幽門側胃切除B-I再建7例, B-II再建7例, 胃全摘Roux-Y再建5例であった. 開腹移行率はおのおの14%, 29%, 20%で術式との間に有意な関連は見られなかった. 胃疾患は良性11例, 悪性8例で開腹移行率は良性27%, 悪性13%でこれも有意差はなかった.胃手術から胆管結石手術までの期間の長さと開...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 171 - 176 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.41.171 |
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Summary: | はじめに: 胃切除後の胆管結石症の治療に際しては, 消化管再建のため経乳頭的アプローチが困難な例も多く, 手術的治療のウエイトが大きくなる. 方法: 腹腔鏡下手術を試みた胃切除の既往を有する胆管結石症19例の成績を検討した. 成績: 15例で腹腔鏡下切石に成功した. 既往胃手術の内容は幽門側胃切除B-I再建7例, B-II再建7例, 胃全摘Roux-Y再建5例であった. 開腹移行率はおのおの14%, 29%, 20%で術式との間に有意な関連は見られなかった. 胃疾患は良性11例, 悪性8例で開腹移行率は良性27%, 悪性13%でこれも有意差はなかった.胃手術から胆管結石手術までの期間の長さと開腹移行率の間にも関連は見られなかった. 術前にERCを施行しえたのは19例中6例で施行率はB-Iでは57%, B-IIでは29%, 胃全摘では0%であった. 腹腔鏡下に完遂できた症例での胆管結石の切石方法は経胆嚢管法が5例と胆管切開が10例であり, 術後在院日数はおのおの4.6日と12.7日であった. 結語: 胃切除後症例では癒着剥離に時間がかかるものの, 多くの症例で腹腔鏡下手術が可能であり, 試みるべき術式と考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.171 |