術前CTで診断し緊急開腹手術で救命しえた特発性中結腸動脈瘤破裂の1例

62歳の男性で, 上腹部痛を主訴に当院を受診した. 腹部CTで腹腔内液体貯留および横行結腸間膜内の血腫の所見があり, 中結腸動脈瘤破裂による腹腔内出血を疑ったが, 明らかな造影剤の腹腔内への漏出はなく, vital signも安定していたため, 厳重に経過観察していた. 入院後血圧低下, 意識混濁を認め, 再度CTを施行したところ, 血腫の増大を来し, 中結腸動脈瘤破裂による出血性ショックと診断し, 緊急手術を施行した. 出血源が中結腸動脈左枝の動脈瘤破裂であることを確認し, 同血管を結紮, 切離した. さらに, その支配領域である横行結腸左側を部分切除した. その後, その支配領域である横行...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 146 - 151
Main Authors 城戸, 啓, 雨宮, 哲, 田村, 光, 細田, 桂, 青木, 真彦, 夏, 錦言, 小熊, 潤也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2008
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.41.146

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Summary:62歳の男性で, 上腹部痛を主訴に当院を受診した. 腹部CTで腹腔内液体貯留および横行結腸間膜内の血腫の所見があり, 中結腸動脈瘤破裂による腹腔内出血を疑ったが, 明らかな造影剤の腹腔内への漏出はなく, vital signも安定していたため, 厳重に経過観察していた. 入院後血圧低下, 意識混濁を認め, 再度CTを施行したところ, 血腫の増大を来し, 中結腸動脈瘤破裂による出血性ショックと診断し, 緊急手術を施行した. 出血源が中結腸動脈左枝の動脈瘤破裂であることを確認し, 同血管を結紮, 切離した. さらに, その支配領域である横行結腸左側を部分切除した. その後, その支配領域である横行結腸左側の色調変化を認めたため, 横行結腸部分切除術を行い, さらに回腸人工肛門造設術も行い, 吻合部の安静を図った. 術後は経過良好であった. 術前の造影CTで動脈瘤の存在を確認できたため, 開腹時も速やかに止血処置ができ救命しえたと考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.41.146