ガス産生化膿性肝膿瘍破裂により汎発性腹膜炎を来した2例の経験

症例1は52歳の男性で, 発熱, 腹痛を主訴に近医受診し, 汎発性腹膜炎の疑いにて当科紹介. 腹膜炎症状を呈し, 腹部CTでガスを含む肝膿瘍と腹水, 腹腔内遊離ガスを認めた. BS 544mg/dl, HbA1c 11.3%と高値で, 重度の糖尿病と診断した. 肝膿瘍破裂の診断にて緊急手術を施行し, 洗浄ドレナージを行った. 膿汁培養ではKlebsiella pneumoniaeが検出された. 症例2は65歳の男性で, 切除不能膵癌にて胆管ステントが留置されていた. 発熱, 腹痛を主訴に当院内科入院, 肝膿瘍の診断にて保存的に加療されるも腹痛の増強を認め, 当科紹介となった. 腹膜炎症状を呈し...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 421 - 426
Main Authors 今井, 克憲, 増田, 稔郎, 別府, 透, 吉村, 芳弘, 水元, 孝郎, 広田, 昌彦, 馬場, 秀夫, 林, 洋光, 石河, 隆敏, 田中, 秀紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.421

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Summary:症例1は52歳の男性で, 発熱, 腹痛を主訴に近医受診し, 汎発性腹膜炎の疑いにて当科紹介. 腹膜炎症状を呈し, 腹部CTでガスを含む肝膿瘍と腹水, 腹腔内遊離ガスを認めた. BS 544mg/dl, HbA1c 11.3%と高値で, 重度の糖尿病と診断した. 肝膿瘍破裂の診断にて緊急手術を施行し, 洗浄ドレナージを行った. 膿汁培養ではKlebsiella pneumoniaeが検出された. 症例2は65歳の男性で, 切除不能膵癌にて胆管ステントが留置されていた. 発熱, 腹痛を主訴に当院内科入院, 肝膿瘍の診断にて保存的に加療されるも腹痛の増強を認め, 当科紹介となった. 腹膜炎症状を呈し, 腹部CTにてガスを含む肝膿瘍と腹水, 腹腔内free airを認めた. 肝膿瘍破裂と診断, 緊急手術にて洗浄ドレナージを行った. 膿汁培養でLactococcus speciesが検出された. 術後は両症例とも経過良好で膿瘍腔は漸次縮小し, 軽快退院となった. ガス産生化膿性肝膿瘍の腹腔内への破裂は非常にまれであり, 文献的考察を含めて報告した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.421