術後感染症と抗菌薬療法 特に消化器外科領域において

外科領域においては手術手技や周術期の管理の進歩により, 手術適応の拡大が図られ, また安全に行える様になった. 特に抗菌薬の開発の進歩は感染症の治療に寄与するとともに, 周術期の感染防止にも貢献した. しかしその反面, 抗菌薬が安易に多用された結果, 多剤耐性菌の出現など新たな問題を提起した. 周術期に発症するすべての感染症を抗菌薬によって防止することは不可能であり, 手術操作のおよぶ術創に発生する感染を阻止することを目的とすべきである. したがって最近では, 術後に投与する抗菌剤は感染予防薬ではなく, 感染阻止薬として認識される. そのためには, 手術の対象臓器, 予測される汚染の程度, 汚...

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Published in医療 Vol. 52; no. 6; pp. 347 - 351
Main Author 小長, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.06.1998
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.52.347

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Summary:外科領域においては手術手技や周術期の管理の進歩により, 手術適応の拡大が図られ, また安全に行える様になった. 特に抗菌薬の開発の進歩は感染症の治療に寄与するとともに, 周術期の感染防止にも貢献した. しかしその反面, 抗菌薬が安易に多用された結果, 多剤耐性菌の出現など新たな問題を提起した. 周術期に発症するすべての感染症を抗菌薬によって防止することは不可能であり, 手術操作のおよぶ術創に発生する感染を阻止することを目的とすべきである. したがって最近では, 術後に投与する抗菌剤は感染予防薬ではなく, 感染阻止薬として認識される. そのためには, 手術の対象臓器, 予測される汚染の程度, 汚染菌などから有効と考えられる抗菌薬の選択を行い, またその投与期間を決めるべきである.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.52.347