多発性に区域, 亜区域枝領域肺動脈の血流障害を認めたサルコイドーシスの1例

症例は50歳女性. 昭和63年頃より咳嗽, 息切れが出現し, 平成4年4月, 息切れの増強のため当科初診. 経気管支肺生検にて非乾酪性肉芽腫を認め, サルコイドーシスと診断した. 低酸素血症, 軽度閉塞性換気障害を認め, 胸部X線では肺門部の浸潤影と血管陰影の不鮮明化が認められた. 胸部CTでは著明な中枢側血管気管支周囲肥厚を認めたが, 肺野に明らかな線維化は認めなかった. 肺換気シンチは正常で, 肺血流シンチでは, 右上中葉, 左舌区を中心に広範な還流欠損を認めた. ステロイド治療後の胸部CTでは陰影の著明な改善が得られたが, 肺血流シンチ上の還流欠損は残存し, 肺動脈造影では, 区域枝,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 328 - 333
Main Authors 松本, 哲郎, 杉崎, 勝教, 津田, 富康, 安東, 優, 吉松, 哲之, 水城, まさみ, 宮崎, 英士
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.04.1994
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.32.328

Cover

More Information
Summary:症例は50歳女性. 昭和63年頃より咳嗽, 息切れが出現し, 平成4年4月, 息切れの増強のため当科初診. 経気管支肺生検にて非乾酪性肉芽腫を認め, サルコイドーシスと診断した. 低酸素血症, 軽度閉塞性換気障害を認め, 胸部X線では肺門部の浸潤影と血管陰影の不鮮明化が認められた. 胸部CTでは著明な中枢側血管気管支周囲肥厚を認めたが, 肺野に明らかな線維化は認めなかった. 肺換気シンチは正常で, 肺血流シンチでは, 右上中葉, 左舌区を中心に広範な還流欠損を認めた. ステロイド治療後の胸部CTでは陰影の著明な改善が得られたが, 肺血流シンチ上の還流欠損は残存し, 肺動脈造影では, 区域枝, 亜区域枝レベルの肺動脈の狭小化, 途絶が認められた. 本症例のごとき胸部CT所見を呈するサルコイドーシスの治療, 予後を考慮する場合, 肺血流障害の評価が重要であると考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.32.328