肝原発悪性リンパ腫の1切除例 本邦報告27切除例の検討
症例は57歳の女性で, 主訴は右季肋部痛. CEA, AFPは正常範囲内で, HBs抗原, HCV抗体は陰性. 腹部エコーで肝S6に8.3×6.5cm, S8に1.7×1.5cmの極めて低エコーな腫瘍を認めた. DIC (drip infusion cholangiography)-CT では, S8腫瘍内を偏位なく貫通する肝内胆管像が高濃度領域として確認された. 針生検診断は未分化癌であった. 術前は胆管細胞癌を疑い, 肝拡大右葉切除術を施行した. リンパ節転移や脾腫は認められず, 肝臓原発の腫瘍であった. 病理検査では, リンパ球が腫瘍内をびまん性に占居していた. 免疫染色では, CD 2...
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| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 644 - 649 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2005
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.38.644 |
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| Summary: | 症例は57歳の女性で, 主訴は右季肋部痛. CEA, AFPは正常範囲内で, HBs抗原, HCV抗体は陰性. 腹部エコーで肝S6に8.3×6.5cm, S8に1.7×1.5cmの極めて低エコーな腫瘍を認めた. DIC (drip infusion cholangiography)-CT では, S8腫瘍内を偏位なく貫通する肝内胆管像が高濃度領域として確認された. 針生検診断は未分化癌であった. 術前は胆管細胞癌を疑い, 肝拡大右葉切除術を施行した. リンパ節転移や脾腫は認められず, 肝臓原発の腫瘍であった. 病理検査では, リンパ球が腫瘍内をびまん性に占居していた. 免疫染色では, CD 20陽性であり, 肝原発非ホジキンリンパ腫B細胞型と診断された. 術後に再発 (胸腔) を認めたが, CHOP療法を行い完全寛解に至った. 肝原発悪性リンパ腫においては, 特徴的な画像を手がかりに本症を疑い, 生検標本の免疫染色を行うことが術前の正確な診断につながる. |
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.38.644 |