減圧軽油の水素化脱硫反応における構造変化

減圧軽油 (VGO) の市販脱硫触媒による水素化脱硫反応を, 高速液体クロマトグラフィー (HPLC)-電解電離質量分析 (FI/MS) 法を用いて, 化合物レベルで解析した。 VGOおよびその脱硫減圧軽油 (DSVGO) をHPLCにより芳香環数に従って七つのフラクションに分割し, 極性成分を除く各フラクションをFI/MS測定して, その組成を明らかにした。VGOの多環芳香族チオフェン類の全濃度は21.6wt%以上と推定された。これは, 多環芳香族分の6割以上に相当する。DSVGOにはVGOに含まれない新たな芳香族化合物の分子量分布が認められ, これらはチオフェン類の脱硫による生成物と推測さ...

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Published in石油学会誌 Vol. 40; no. 3; pp. 213 - 219
Main Authors 十河, 清二, 小林, 学, 青柳, 功, 三谷, 宏
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.05.1997
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ISSN0582-4664
DOI10.1627/jpi1958.40.213

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Summary:減圧軽油 (VGO) の市販脱硫触媒による水素化脱硫反応を, 高速液体クロマトグラフィー (HPLC)-電解電離質量分析 (FI/MS) 法を用いて, 化合物レベルで解析した。 VGOおよびその脱硫減圧軽油 (DSVGO) をHPLCにより芳香環数に従って七つのフラクションに分割し, 極性成分を除く各フラクションをFI/MS測定して, その組成を明らかにした。VGOの多環芳香族チオフェン類の全濃度は21.6wt%以上と推定された。これは, 多環芳香族分の6割以上に相当する。DSVGOにはVGOに含まれない新たな芳香族化合物の分子量分布が認められ, これらはチオフェン類の脱硫による生成物と推測された。 本反応条件下では, 主としてチオフェン類が芳香環数の少ない炭化水素に転化されるために, 多環芳香族分は減少し, かつ軽質化することがわかった。芳香環の水素化は進行するものの, 炭素-炭素結合の切断 (アルキル側鎖の切断およびナフテン環の開裂) は起こらないと推測された。VGO中の360°C以上の留分は水素化脱硫反応により87.5wt%から63.5wt%に減少した。この減少分 (24.0wt%) は多環芳香族チオフェン類の全濃度 (21.6wt%) と近似した。
ISSN:0582-4664
DOI:10.1627/jpi1958.40.213