小児ラットの一側完全尿管閉塞腎における閉塞開放前後の腎機能 成人ラットとの比較

小児ラットで閉塞期間3日, 1週間の一側完全尿管閉塞腎を作製し, リッサミソグリーン注入法と微小電極法を用いて, 腎機能障害の進行と閉塞開放後の機能回復を明らかにし, 成人ラットと比較検討した. 腎盂容量は閉塞3日目には control の15.7倍 (成人ラットでは control の6.3倍), 閉塞1週間では47.5倍 (成人ラットでは16.7倍) となった. リッサミングリーン注入法を用いて測定した Functioning Nephron 数 (Nf: ×103/cm2) は control で14.8±0.9 (成人ラットでは15.1±0.5) であった. 閉塞3日目には contr...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 4; pp. 660 - 665
Main Authors 西山, 明徳, 鈴木, 省司, 福崎, 篤, 折笠, 精一, 斉藤, 禎隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1988
The Japanese Urological Association
社団法人日本泌尿器科学会
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.79.4_660

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Summary:小児ラットで閉塞期間3日, 1週間の一側完全尿管閉塞腎を作製し, リッサミソグリーン注入法と微小電極法を用いて, 腎機能障害の進行と閉塞開放後の機能回復を明らかにし, 成人ラットと比較検討した. 腎盂容量は閉塞3日目には control の15.7倍 (成人ラットでは control の6.3倍), 閉塞1週間では47.5倍 (成人ラットでは16.7倍) となった. リッサミングリーン注入法を用いて測定した Functioning Nephron 数 (Nf: ×103/cm2) は control で14.8±0.9 (成人ラットでは15.1±0.5) であった. 閉塞3日目には control の20.9% (成人ラットでは control の12.6%) に低下したが, 開放1週間後には73.6% (成人ラットでは58.9%) にまで回復した. 閉塞1週間目には control の0% (成人では5.6%) に低下したが, 開放1週間後には48.6% (成人では47.7%) にまで回復した. 近位尿細管細胞の膜電位 (EM) は control で-68.1±0.8mV (成人ラットでは-71.0±0.8mV) あった. 閉塞3日目には control の78.4% (成人ラットでは control の73.7%) に低下したが, 開放1週間後には92.8% (成人では88.2%) にまで回復した. 閉塞1週間目には control の58.6% (成人では67.5%) に低下したが, 開放1週間後には84.7% (成人では85.1%) にまで回復した. 以上より, 小児水腎症は可能な限り早期に, 腎保存の方向で検討すべきと考えられた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.79.4_660