高齢者の望ましい金融行動と関連の深い金融リテラシーは何か Lusardi and Mitchellの3大質問の有効性の検討

我々は、2018年2月に3,000人の高齢者を回答者とするウェブ調査「高齢者の金融リテラシーと金融行動に関する調査」を実施した。この調査では、様々な質問によって回答者の金融リテラシーを計測し、どのような金融リテラシーを持っている高齢者が金融上の望ましい行動を取る傾向が強いかを分析した。本調査によると、国際的に確立した尺度であるLusardi and Mitchell (2008)の3つの質問(金利計算、インフレの影響、分散投資に関する質問)の正答率は、望ましい金融行動と必ずしも強く関連しておらず、投資信託の手数料や退職金の運用に関する分散投資の知識などの質問のほうが関連性は強かった。つまり、日...

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Published in生活経済学研究 Vol. 51; pp. 1 - 18
Main Authors 柳原, 光芳, 上山, 仁恵, 家森, 信善
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 生活経済学会 2020
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ISSN1341-7347
2424-1288
DOI10.18961/seikatsukeizaigaku.51.0_1

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Summary:我々は、2018年2月に3,000人の高齢者を回答者とするウェブ調査「高齢者の金融リテラシーと金融行動に関する調査」を実施した。この調査では、様々な質問によって回答者の金融リテラシーを計測し、どのような金融リテラシーを持っている高齢者が金融上の望ましい行動を取る傾向が強いかを分析した。本調査によると、国際的に確立した尺度であるLusardi and Mitchell (2008)の3つの質問(金利計算、インフレの影響、分散投資に関する質問)の正答率は、望ましい金融行動と必ずしも強く関連しておらず、投資信託の手数料や退職金の運用に関する分散投資の知識などの質問のほうが関連性は強かった。つまり、日本の高齢者の現状を踏まえて、より関連性のあるリテラシーの尺度を探し、高齢者に望ましい行動を取らせるように高齢者向けの金融経済教育の内容を充実させることが必要である。
ISSN:1341-7347
2424-1288
DOI:10.18961/seikatsukeizaigaku.51.0_1