後十字靱帯後方滑膜より発生した色素性絨毛結節性滑膜炎の一例

「はじめに」色素性絨毛結節性滑膜炎(以下PVS)は比較的まれな疾患である. 今回我々は, 関節鏡視下に摘出可能であった後十字靱帯(以下PCL)後方に発生したPVSの一例を経験したので報告する. 症例 29歳, 男性 現病歴:ソフトボールをした後より左膝の疼痛と関節可動域(以下ROM)制限を呈し, 翌日当院を受診した. 既往歴:特記事項なし 現症:左膝に関節水症を認め, ROM-12-62度と制限されていた. 内外側関節裂隙の圧痛や不安定性は存在しなかった. 穿刺にて38ccの黄色透明の関節液を認めた. 画像所見:単純レントゲン(図1)では異常所見を認めなかった. MRI(図2)で後十字靱帯の後...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 54; no. 4; pp. 689 - 693
Main Authors 井原, 秀俊, 中, 敬彦, 宮西, 圭太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2005
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.54.689

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Summary:「はじめに」色素性絨毛結節性滑膜炎(以下PVS)は比較的まれな疾患である. 今回我々は, 関節鏡視下に摘出可能であった後十字靱帯(以下PCL)後方に発生したPVSの一例を経験したので報告する. 症例 29歳, 男性 現病歴:ソフトボールをした後より左膝の疼痛と関節可動域(以下ROM)制限を呈し, 翌日当院を受診した. 既往歴:特記事項なし 現症:左膝に関節水症を認め, ROM-12-62度と制限されていた. 内外側関節裂隙の圧痛や不安定性は存在しなかった. 穿刺にて38ccの黄色透明の関節液を認めた. 画像所見:単純レントゲン(図1)では異常所見を認めなかった. MRI(図2)で後十字靱帯の後方にT1で筋肉と等輝度T2で等輝度と高輝度の混在する境界明瞭な腫瘤陰影を認めた. 以上より, PVS, 腱鞘巨細胞腫, 腱鞘線維腫, 血管腫, ガングリオンを鑑別診断に考慮して関節鏡を施行した. 鏡視所見:十字靱帯は外観上は正常で, 腫瘤の存在を認知できなかった. PCLと前十字靱帯(以下ACL)の間に滑膜様組織に包まれた腫瘤らしきものを発見した. 入念にPCLの外側から後方滑膜をプロービングすると膨隆した赤褐色の腫瘤が認識できた(図3). 腫瘤表面には小血管の走行を確認できた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.54.689