膝関節の屈曲制限を呈した限局性色素性絨毛結節性滑膜炎の一例

「はじめに」限局性色素性絨毛結節性滑膜炎(以下PVSと略す)は非常に稀であるが, 今回我々は限局性PVSにより膝の屈曲障害を生じた症例を経験したので報告する. 症例 症例:33歳, 男性, 電気工事職 現病歴:平成13年8月から特に誘因なく右膝関節の疼痛による屈曲制限を呈するようになり, 10月には水腫も出現したため近医受診した. 半月板損傷の疑いでMRIを施行され関節内に腫瘤を認め, 平成13年11月当科へ紹介受診となった. 既往歴:大腸ポリープ スポーツ歴:なし 初診時現症:関節水腫を認め, 前外側関節裂隙に腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 伸展制限はなかったが, 疼痛により90°以上屈曲不...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 1; pp. 185 - 188
Main Authors 鮫島, 貞信, 山元, 拓哉, 小宮, 節郎, 長友, 淑美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2003
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.52.185

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Summary:「はじめに」限局性色素性絨毛結節性滑膜炎(以下PVSと略す)は非常に稀であるが, 今回我々は限局性PVSにより膝の屈曲障害を生じた症例を経験したので報告する. 症例 症例:33歳, 男性, 電気工事職 現病歴:平成13年8月から特に誘因なく右膝関節の疼痛による屈曲制限を呈するようになり, 10月には水腫も出現したため近医受診した. 半月板損傷の疑いでMRIを施行され関節内に腫瘤を認め, 平成13年11月当科へ紹介受診となった. 既往歴:大腸ポリープ スポーツ歴:なし 初診時現症:関節水腫を認め, 前外側関節裂隙に腫瘤を触知し, 圧痛を認めた. 伸展制限はなかったが, 疼痛により90°以上屈曲不能であった. 関節穿刺にて黄色透明の関節液を認めた. 画像所見:単純レントゲン(図1)では特に所見を認めなかった. MRI(図2)では, 前外側関節裂隙にT1, T2ともに低-中信号, 内部が不均一で境界明瞭な腫瘤を認め, ガドリニウムでエンハンスされなかった. 以上から血行に乏しい軟部腫瘍を疑い手術を行った. 術中所見:平成13年12月, 関節切開で直視下に手術を行った. 膝蓋下脂肪体外側の滑膜から膨隆した約20mm×30mmの腫瘤を認め(図3), 基部周辺の滑膜とともに切除した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.185