C型肝炎に発生した成人肝芽腫の1切除例

症例は54歳の男性で, 職場検診にて肝S6に腫瘤を指摘された. HCV抗体陽性でAFPが301ng/ml, AFP-L3分画が72.5%と上昇していた. 腹部超音波では混合エコーを呈した. 単純CTでは低吸収域, 造影早期で辺縁のみが淡く造影され, wash-outは明らかではなかった. 肝後区域切除術を施行した. 腫瘍径は3cmで成人肝芽腫報告例では最小であった. 組織学的には被膜と隔壁があり, 出血や壊死を認めた. 核異型が強く, N/C比の高い細胞が不規則に増殖し, 幼若な胎児性肝組織に類似していた. その他に類骨形成, 粘液腫状の間質, 低分化の肝細胞癌など, 多彩な組織像を呈した....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 1; pp. 72 - 77
Main Authors 別府, 透, 土居, 浩一, 川口, 哲, 杉山, 眞一, 佐藤, 孝彦, 石河, 隆敏, 辛島, 龍一, 馬場, 秀夫, 甲斐, 千晴, 池田, 公英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2006
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.72

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Summary:症例は54歳の男性で, 職場検診にて肝S6に腫瘤を指摘された. HCV抗体陽性でAFPが301ng/ml, AFP-L3分画が72.5%と上昇していた. 腹部超音波では混合エコーを呈した. 単純CTでは低吸収域, 造影早期で辺縁のみが淡く造影され, wash-outは明らかではなかった. 肝後区域切除術を施行した. 腫瘍径は3cmで成人肝芽腫報告例では最小であった. 組織学的には被膜と隔壁があり, 出血や壊死を認めた. 核異型が強く, N/C比の高い細胞が不規則に増殖し, 幼若な胎児性肝組織に類似していた. その他に類骨形成, 粘液腫状の間質, 低分化の肝細胞癌など, 多彩な組織像を呈した. 以上より混合型肝芽腫と診断した. 背景肝はF3~F4, A2であった. 取扱い規約による進行度はStage IIIであった. 術後にCDDPとFarmorubicinによる予防的肝動注化学療法を行った. 手術後約2年の現在も無再発生存中で腫瘍マーカーも正常化している.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.72