横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例

症例は89歳の女性で,既往歴は高血圧のみであり,開腹手術の既往はなかった.2010年,夕食摂取中に臍上部の腹痛が出現し前医に受診した.腹部CTで内ヘルニアが疑われ同日当院紹介となった.腹部CTで,左上腹部に嚢状に拡張した小腸が一塊となっている所見がみられ,同部位の腸管壁の造影効果は不良であったため,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断で手術を行った.術中,Treiz靱帯左側の横行結腸間膜に約5cmのヘルニア門を同定し,そこに約15cmの空腸が嵌入していた.用手的に整復後,腸管を観察すると漿膜面は発赤し浮腫状で,腸間膜にもうっ血像が著明であったため,切除の方針とし同部を切除吻合した.またヘルニア...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 12; pp. 1591 - 1596
Main Authors 城戸, 啓, 雨宮, 哲, 小島, 正夫, 田村, 光, 細田, 桂, 青木, 真彦, 松田, 諭, 河島, 俊文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1591

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Summary:症例は89歳の女性で,既往歴は高血圧のみであり,開腹手術の既往はなかった.2010年,夕食摂取中に臍上部の腹痛が出現し前医に受診した.腹部CTで内ヘルニアが疑われ同日当院紹介となった.腹部CTで,左上腹部に嚢状に拡張した小腸が一塊となっている所見がみられ,同部位の腸管壁の造影効果は不良であったため,内ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断で手術を行った.術中,Treiz靱帯左側の横行結腸間膜に約5cmのヘルニア門を同定し,そこに約15cmの空腸が嵌入していた.用手的に整復後,腸管を観察すると漿膜面は発赤し浮腫状で,腸間膜にもうっ血像が著明であったため,切除の方針とし同部を切除吻合した.またヘルニア嚢は,膵前面から網嚢内に向かって広がっており,反転し嚢を切除,ヘルニア門を閉鎖した.術後経過は良好で,術後15日目に退院した.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは比較的まれであり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1591