輸血副作用 主に免疫学的副作用を中心に
輸血副作用には,軽微な蕁麻疹から重篤な副作用であるABO不適合,輸血関連肺障害,輸血後GVHDなどが報告されている。本稿では,免疫を介して起こる輸血副作用について,その機序,臨床的事項,頻度,対症療法などについて簡略に述べた。更に,赤十字血液センターが展開している医療機関の自発報告に基づく全国的な副作用調査から,特に非溶血性副作用と輸血後GVHDについても報告した。非溶血性副作用の報告が全報告数の約3/4を占め,血小板輸血にアナフィラキシーが多く,赤血球輸血に発熱反応が多く報告された。また,重篤な副作用ほど即時型で輸血開始5~10分以内に発現するものが多かった。輸血後GVHDはマイクロサテライ...
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| Published in | 体外循環技術 Vol. 23; no. 1; pp. 1 - 9 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
25.11.1996
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| Subjects | |
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| ISSN | 0912-2664 1884-5452 |
| DOI | 10.7130/hokkaidoshakai.23.1 |
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| Summary: | 輸血副作用には,軽微な蕁麻疹から重篤な副作用であるABO不適合,輸血関連肺障害,輸血後GVHDなどが報告されている。本稿では,免疫を介して起こる輸血副作用について,その機序,臨床的事項,頻度,対症療法などについて簡略に述べた。更に,赤十字血液センターが展開している医療機関の自発報告に基づく全国的な副作用調査から,特に非溶血性副作用と輸血後GVHDについても報告した。非溶血性副作用の報告が全報告数の約3/4を占め,血小板輸血にアナフィラキシーが多く,赤血球輸血に発熱反応が多く報告された。また,重篤な副作用ほど即時型で輸血開始5~10分以内に発現するものが多かった。輸血後GVHDはマイクロサテライトDNA多型解析によって10例(1994年)が確定された。患者危険因子は,担癌手術,開心術患者などへの輸血,高齢,初回輸血などであった。このような疾患に同種血輸血を施行する際は,放射線照射した血液の使用が望まれる。今後、輸血副作用を予防するため,原因究明を急ぐとともに,輸血の適応を厳密に行い,緊急避難的に同種血輸血を施行する際は,副作用を考慮した説明と同意が必要となる。 |
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| ISSN: | 0912-2664 1884-5452 |
| DOI: | 10.7130/hokkaidoshakai.23.1 |