骨盤内solitary fibrous tumorの1例

症例は45歳の女性で,検診で左卵巣腫瘍を疑われ当院婦人科にて開腹術を施行した.後腹膜から左骨盤腔に腫瘤を認め,針生検を行い,紡錐形細胞由来の低悪性度軟部腫瘍の診断で当科紹介となった.CTでは境界明瞭,辺縁整,内部ほぼ均一だが一部濃染域と不染域の混在した腫瘤を認めた.浸潤性変化は認めなかった.腹仙骨式骨盤内腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は黄白色充実性で,組織学的には紡錐形細胞の増殖からなり,“patternless pattern”を認めた.細胞密度の上昇を認め,核の大小不同が顕著であったが,細胞異型は強くなく,核分裂像は認められなかった.desmin,EMA,S-100陰性,α-SMA陽性,vim...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 10; pp. 1328 - 1333
Main Authors 佐藤, 太一, 小泉, 和也, 橋口, 陽二郎, 神藤, 英二, 望月, 英隆, 島崎, 英幸, 上野, 秀樹, 長谷, 和生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1328

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Summary:症例は45歳の女性で,検診で左卵巣腫瘍を疑われ当院婦人科にて開腹術を施行した.後腹膜から左骨盤腔に腫瘤を認め,針生検を行い,紡錐形細胞由来の低悪性度軟部腫瘍の診断で当科紹介となった.CTでは境界明瞭,辺縁整,内部ほぼ均一だが一部濃染域と不染域の混在した腫瘤を認めた.浸潤性変化は認めなかった.腹仙骨式骨盤内腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は黄白色充実性で,組織学的には紡錐形細胞の増殖からなり,“patternless pattern”を認めた.細胞密度の上昇を認め,核の大小不同が顕著であったが,細胞異型は強くなく,核分裂像は認められなかった.desmin,EMA,S-100陰性,α-SMA陽性,vimentin,CD34一部陽性であり,solitary fibrous tumor(SFT)と診断された.腫瘍は大殿筋に一部浸潤していた.極めてまれな後腹膜由来の骨盤内SFTを経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1328