中咽頭悪性腫瘍の臨床統計 TAR療法によるchemoradioselection

2002年から2011年の10年間に, 筑波大学耳鼻咽喉科に入院した中咽頭がん初回治療症例91例についてretrospectiveに検討を行った。男性77例, 女性14例, 年齢は62.5±10.2歳であった。亜部位別の症例数は側壁が最も多く58例 (63.7%), 前壁が22例 (24.2%), 上壁が8例 (8.8%), 後壁が3例 (3.3%) であった。HPV検査が施行された症例は7例であるが, 6例がHPVハイリスク群陽性を示した。緩和治療のみとなった12例を除き, 中咽頭がんに対し何らかの治療を施行した79例について, 疾患特異的5年生存率は55.6%であった。喫煙歴と飲酒歴は共に...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 56; no. Supplement1; pp. s86 - s91
Main Authors 大原, 浩達, 原, 晃, 西村, 文吾, 田中, 秀峰, 辻, 茂希, 田渕, 経司, 中山, 雅博, 大久保, 英樹, 芦澤, 圭, 和田, 哲郎, 星野, 朝文, 飛田, 忠道, 高橋, 和彦, 吉村, 知倫, 瀬成田, 雅光, 中馬越, 真理子, 上前泊, 功, 廣瀬, 由紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 05.03.2013
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.56.s86

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Summary:2002年から2011年の10年間に, 筑波大学耳鼻咽喉科に入院した中咽頭がん初回治療症例91例についてretrospectiveに検討を行った。男性77例, 女性14例, 年齢は62.5±10.2歳であった。亜部位別の症例数は側壁が最も多く58例 (63.7%), 前壁が22例 (24.2%), 上壁が8例 (8.8%), 後壁が3例 (3.3%) であった。HPV検査が施行された症例は7例であるが, 6例がHPVハイリスク群陽性を示した。緩和治療のみとなった12例を除き, 中咽頭がんに対し何らかの治療を施行した79例について, 疾患特異的5年生存率は55.6%であった。喫煙歴と飲酒歴は共に5年生存率に有意に関連した。 当科ではTS-1, Vitamin A併用の化学放射線療法 (TAR療法) 45Gyを先行させることによって, その後の切除術の根治性を高め, また一方では, 反応良好例を選別 (chemoradioselection) し, 根治可能症例には継続して化学放射線療法を行うことで手術を回避し臓器温存の可能性を高めている。中咽頭がんの治療に対する反応は症例によってさまざまであるため, 症例毎にオーダーメイドの治療を行っていくことが重要ではないかと考えている。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.56.s86