頭蓋内出血を発症したサイトメガロウイルス肝炎の1母乳栄養児例 ビタミンK経口予防投与歴のある1例

新生児期と1カ月検診時の計3回経ロビタミンK (以下VK) の予防投与を受けたにもかかわらず, VK欠乏症による頭蓋内出血を発症した生後54日の母乳栄養児を経験した.貧血と高ビリルビン血症, トランスアミナーゼおよび総胆汁酸の上昇が認められた.サイトメガロウイルス (以下CMV) のIgM抗体が上昇し, CMV抗原陽性の末梢血多核白血球が検出された.患児尿および母乳中からCMV-DNAが分離され, 本症例はCMV肝炎によりVKの吸収障害をきたし, 母乳中のVKの低含量と相まってVK欠乏症が発症したと考えられた.現行のVK経口予防投与では本症のような肝胆道系疾患の関連するVK欠乏症を予防すること...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 50 - 53
Main Authors 田中, 一郎, 神末, 政樹, 高橋, 幸博, 嶋, 緑倫, 吉岡, 章, 吉田, 幸一, 大塚, 博之, 浦西, 龍之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 28.02.2001
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.15.50

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Summary:新生児期と1カ月検診時の計3回経ロビタミンK (以下VK) の予防投与を受けたにもかかわらず, VK欠乏症による頭蓋内出血を発症した生後54日の母乳栄養児を経験した.貧血と高ビリルビン血症, トランスアミナーゼおよび総胆汁酸の上昇が認められた.サイトメガロウイルス (以下CMV) のIgM抗体が上昇し, CMV抗原陽性の末梢血多核白血球が検出された.患児尿および母乳中からCMV-DNAが分離され, 本症例はCMV肝炎によりVKの吸収障害をきたし, 母乳中のVKの低含量と相まってVK欠乏症が発症したと考えられた.現行のVK経口予防投与では本症のような肝胆道系疾患の関連するVK欠乏症を予防することは難しく, 乳児で肝障害がある場合にはVK欠乏症も念頭に置くこと, および今後欧米で使用されている新しい経口VK製剤の導入や投与経路なども検討する必要があると思われる.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.15.50