軸椎歯突起後方偽腫瘍の治療経験 — 3 例

「はじめに」近年, 頚髄症の原因となる軸椎歯突起後方に形成された非腫瘍性腫瘤の報告が散見され, 軸椎歯突起後方偽腫瘍と呼称されるようになった. われわれは, この疾患を3例経験したので, 自験例の病態と治療について検討を加え報告する. 対象および方法 症例は男性2例, 女性1例で平均年齢82.7歳であり, 全例, 頚髄症を呈し, 治療は環椎後弓切除を施行した. 質的診断をMRI, 石灰化の有無をCTで確認し, 環軸関節不安定性の有無を動態X線撮影で評価した. 手術前後の神経症状は日整会頚髄症治療成績判定基準(JOAscore)で評価し, 腫瘤サイズの術後経時的変化はMRIを用いた. 結果 MR...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 54; no. 4; pp. 737 - 741
Main Authors 山元, 拓哉, 松永, 俊二, 横内, 雅博, 米, 和徳, 林, 協司, 東福, 勝宏, 小宮, 節郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2005
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.54.737

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Summary:「はじめに」近年, 頚髄症の原因となる軸椎歯突起後方に形成された非腫瘍性腫瘤の報告が散見され, 軸椎歯突起後方偽腫瘍と呼称されるようになった. われわれは, この疾患を3例経験したので, 自験例の病態と治療について検討を加え報告する. 対象および方法 症例は男性2例, 女性1例で平均年齢82.7歳であり, 全例, 頚髄症を呈し, 治療は環椎後弓切除を施行した. 質的診断をMRI, 石灰化の有無をCTで確認し, 環軸関節不安定性の有無を動態X線撮影で評価した. 手術前後の神経症状は日整会頚髄症治療成績判定基準(JOAscore)で評価し, 腫瘤サイズの術後経時的変化はMRIを用いた. 結果 MRIでは, T1強調像で脊髄と等輝度, T2強調像で低-等輝度, 一例は一部高信号の混在を示していた. CTでは1例で腫瘤内に石灰化を認め, 動態X線撮影で全例, 軽度の環軸関節不安定性を認めた(表1). JOAscoreは, 術前平均5.7点が術後平均12.5点と改善を認め, 術後の腫瘤サイズは, 全例不変であった(表2), 症例呈示 症例2:84歳, 女性 主訴:巧緻運動障害, 歩行困, 難後頭部痛. 現病歴:1997年頃より, 誘因なく四肢にしびれ, 疼痛が出現. 2002年9月, 両上肢挙上が困難となり, 同年11月には歩行不能となる.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.54.737