組織連関視角からの地域政治へのアプローチ

本稿は、組織連関分析というひとつの新しい視角からの分析が、地域政治の研究に如何に利用しうるかを明らかにしようとするものである。組織連関分析はもともと組織論分野で発展してきたものだが、地域政治研究にとっても、以前から暗黙のうちに前提にされてきた親しみやすい分析視角である。まだ体系的に整えられるに至らず、多様な立場に立つ理論的・実証的研究が散在しているが、その中から、組織連関ネットワークという視角を地域政治の研究にはもっとも有効なものとして選択する。この組織連関ネットワークという視角から、地域政治は次の三水準において捉えることが可能となる。 (1) 地域政治のひとつの具体的な顕われとしてのイシュー...

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Published in社会学評論 Vol. 33; no. 3; pp. 63 - 79
Main Author 片桐, 新自
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本社会学会 31.12.1982
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ISSN0021-5414
1884-2755
DOI10.4057/jsr.33.3_63

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Summary:本稿は、組織連関分析というひとつの新しい視角からの分析が、地域政治の研究に如何に利用しうるかを明らかにしようとするものである。組織連関分析はもともと組織論分野で発展してきたものだが、地域政治研究にとっても、以前から暗黙のうちに前提にされてきた親しみやすい分析視角である。まだ体系的に整えられるに至らず、多様な立場に立つ理論的・実証的研究が散在しているが、その中から、組織連関ネットワークという視角を地域政治の研究にはもっとも有効なものとして選択する。この組織連関ネットワークという視角から、地域政治は次の三水準において捉えることが可能となる。 (1) 地域政治のひとつの具体的な顕われとしてのイシュー別組織連関ネットワーク、 (2) もっとも一般的な意味での地域政治構造をあらわす権力分配組織連関ネットワーク、 (3) その基盤となる地域社会構造をあらわす組織連関ネットワーク、の三つである。このうち、特にイシュー別組織連関ネットワークは、他の二水準と比べ対象を限定しやすいため、組織連関分析がもっともその有効性を発揮しやすいところである。本稿では、イシューをめぐって形成される組織連関ネットワークの型を、 (1) 市場型ネットワーク、 (2) 管理型ネットワーク、 (3) 対決型ネットワーク、(4)調停型ネットワークの四つに類型化し、その間の変遷、およびそれらのネットワークと意思決定との関係の理論化を試みる。
ISSN:0021-5414
1884-2755
DOI:10.4057/jsr.33.3_63