脳卒中後の抗凝固療法に合併した後腹膜出血により腰神経叢麻痺をきたした1症例
抗凝固療法の合併症のひとつに非外傷性後腹膜出血があり, 特に大腰筋や腸骨筋内への出血, 血腫形成は, 腰仙骨神経叢麻痺を惹き起こしやすいことが知られている1, 3, 5, 8, 11, 12). これらの報告の多くは心筋梗塞16)や肺塞栓症8, 11)の治療に関するものであり, 脳梗塞治療1)に関する報告は少ない. 今回我々は, 脳梗塞の抗凝固療法に合併した腸腰筋内出血により, 腸腰筋および大腿四頭筋麻痺を主体とした腰神経叢麻痺をきたした症例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例:66歳, 男性, 右利き 主訴:右下肢麻痺による歩行障害 診断:脳梗塞, 後腹膜出血及び腰神経叢麻痺...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 42; no. 12; pp. 875 - 879 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本リハビリテーション医学会
2005
日本リハビリテーション医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0034-351X 1880-778X |
DOI | 10.2490/jjrm1963.42.875 |
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Summary: | 抗凝固療法の合併症のひとつに非外傷性後腹膜出血があり, 特に大腰筋や腸骨筋内への出血, 血腫形成は, 腰仙骨神経叢麻痺を惹き起こしやすいことが知られている1, 3, 5, 8, 11, 12). これらの報告の多くは心筋梗塞16)や肺塞栓症8, 11)の治療に関するものであり, 脳梗塞治療1)に関する報告は少ない. 今回我々は, 脳梗塞の抗凝固療法に合併した腸腰筋内出血により, 腸腰筋および大腿四頭筋麻痺を主体とした腰神経叢麻痺をきたした症例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 症例:66歳, 男性, 右利き 主訴:右下肢麻痺による歩行障害 診断:脳梗塞, 後腹膜出血及び腰神経叢麻痺 現病歴:仕事中に軽度の右片麻痺と失語症を生じ, 近医を受診したところ, 左視床のアテローム血栓性脳梗塞と診断され, 抗トロンビン薬投与などの抗凝固療法を施行された. 心血管系に異常所見は認めなかった. 右片麻痺および失語症状は短期間で改善し, 第6病日には, 片麻痺はほぼ正常に近い状態に回復し, 日常会話も問題ないものとなっていた. |
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ISSN: | 0034-351X 1880-778X |
DOI: | 10.2490/jjrm1963.42.875 |