蛇紋岩地すべりに対する鉱物学的一考察

蛇紋岩地帯では地質境界部で多くの地すべりが発生している。本論文では, この理由を蛇紋岩の生成過程にまで遡って鉱物学的に検討している。具体的には, 顕微鏡観察, X線回析, 蛍光X線分析により蛇紋岩の鉱物学的特性を調べ, また, 文献調査に基づく検討を行っている。それらの結果, 蛇紋岩の特性は蛇紋岩と磁鉄鉱それとブルサイトが共存しているところにあり, 風化に弱く細粒化しやすいが, すべり面と成り得る小さなせん断抵抗角を持つ粘土鉱物は生成されない。蛇紋岩体に隣り合って, 緑泥石層などが形成されやすく, これらはすべり面と成り得る粘土鉱物を生成しやすい。したがって, 蛇紋岩体との境界部で多くの地すべ...

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Published in地すべり Vol. 35; no. 3; pp. 15 - 23_1
Main Authors 矢田部, 龍一, 八木, 則男, 横田, 公忠
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本地すべり学会 1998
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ISSN0285-2926
1884-3956
DOI10.3313/jls1964.35.3_15

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Summary:蛇紋岩地帯では地質境界部で多くの地すべりが発生している。本論文では, この理由を蛇紋岩の生成過程にまで遡って鉱物学的に検討している。具体的には, 顕微鏡観察, X線回析, 蛍光X線分析により蛇紋岩の鉱物学的特性を調べ, また, 文献調査に基づく検討を行っている。それらの結果, 蛇紋岩の特性は蛇紋岩と磁鉄鉱それとブルサイトが共存しているところにあり, 風化に弱く細粒化しやすいが, すべり面と成り得る小さなせん断抵抗角を持つ粘土鉱物は生成されない。蛇紋岩体に隣り合って, 緑泥石層などが形成されやすく, これらはすべり面と成り得る粘土鉱物を生成しやすい。したがって, 蛇紋岩体との境界部で多くの地すべりが発生しやすいと結論できる。
ISSN:0285-2926
1884-3956
DOI:10.3313/jls1964.35.3_15