ブレオマイシン肺臓炎における細気管支及び肺胞上皮細胞のDNA傷害

ブレオマイシンの細胞傷害を起こす機序は, DNA鎖の切断であると考えられている. そこでマウスのブレオマイシン肺臓炎を対象として, DNA断端の3'-OH基を組織上で特異的に検出可能な in situ biotin-dUTP end-labeling 法を用いてDNA傷害の局在と線維化との関連性を検討した. その結果, ブレオマイシン投与約1時間から12時間後は, 細気管支上皮細胞を中心にDNA傷害がみられ, その後回復するが, 徐々に線維化が進行すると共に肺胞上皮細胞のDNA傷害が増強し遷延していた. 投与直後のDNA傷害はステロイド投与によって影響を受けなかったが, 遷延する肺胞...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 3 - 8
Main Authors 野元, 吉二, 橋本, 修一, 原, 信之, 萩本, 直樹, 桑野, 和善, 國武, 律子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.01.1996
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.34.3

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Summary:ブレオマイシンの細胞傷害を起こす機序は, DNA鎖の切断であると考えられている. そこでマウスのブレオマイシン肺臓炎を対象として, DNA断端の3'-OH基を組織上で特異的に検出可能な in situ biotin-dUTP end-labeling 法を用いてDNA傷害の局在と線維化との関連性を検討した. その結果, ブレオマイシン投与約1時間から12時間後は, 細気管支上皮細胞を中心にDNA傷害がみられ, その後回復するが, 徐々に線維化が進行すると共に肺胞上皮細胞のDNA傷害が増強し遷延していた. 投与直後のDNA傷害はステロイド投与によって影響を受けなかったが, 遷延する肺胞上皮細胞のDNA傷害は抑制され, 炎症による細胞傷害に伴うDNA傷害であると思われた. 組織上でDNA断端を標識し, 経時的にDNA傷害の局在の部位を解析することによって, ブレオマイシン肺臓炎の線維化の機序として遷延化する肺胞上皮のDNA傷害が重要であることが示唆された.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.34.3