2型糖尿病患者における血中リゾホスファチジルコリン濃度測定の臨床的意義
血管内皮下の過酸化脂質は直接粥状硬化形成に関わることより, 血中過酸化脂質の増加は粥状硬化の促進因子の一つと考えられる。近年, その指標として, リゾホスファチジルコリン (lysophosphatidylcholine;LPC) や酸化LDL (oxidized low-densitylipoprotein;oxLDL) 濃度の測定が可能となった。今回, 2型糖尿病患者147例における血漿LPCとoxLDLおよび炎症マーカーである高感度CRP (high-sensitivity C-reactive protein;hs-CRP) 濃度を測定し, これらおよび臨床的背景との関係を検討した。ま...
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          | Published in | 臨床化学 Vol. 36; no. 1; pp. 49 - 60 | 
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| Main Authors | , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本臨床化学会
    
        31.01.2007
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0370-5633 2187-4077  | 
| DOI | 10.14921/jscc1971b.36.1_49 | 
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| Summary: | 血管内皮下の過酸化脂質は直接粥状硬化形成に関わることより, 血中過酸化脂質の増加は粥状硬化の促進因子の一つと考えられる。近年, その指標として, リゾホスファチジルコリン (lysophosphatidylcholine;LPC) や酸化LDL (oxidized low-densitylipoprotein;oxLDL) 濃度の測定が可能となった。今回, 2型糖尿病患者147例における血漿LPCとoxLDLおよび炎症マーカーである高感度CRP (high-sensitivity C-reactive protein;hs-CRP) 濃度を測定し, これらおよび臨床的背景との関係を検討した。また, 健常人24名 (男12/女12) で血漿LPC値の基準値を知る目的で測定した。 2型糖尿病患者の血漿LPC濃度は男性0.221±0.059mmo1/1, 女性0.202±0.055mmo1/1と女性で有意に低値で性差を認めた (p<0.05) 。この関係は健常人 (男性0.256±0.048mmo1/1, 女性0.220±0.031) でも同様であった。oxLDL濃度はLDL-Cと強い相関を示し, 男性48.9±14.8U/1, 女性55.3±17.3U/1と女性で有意に高値であった (P<0.05) 。2型糖尿病患者の血漿LPCとoxLDL濃度の間には相関関係は認めず, 両者ともhs-CRPとも相関を認めなかった。合併症別に検討すると, LPC濃度は虚血性心疾患合併群 (0.179±0.057) で非合併群 (0.220±0.049) より低値であった。この関係は大血管症合併 (合併群0.195±0.054, 非合併群0.222±0.059, p<0.05) においても同様であり, これらは男女別に検討しても同様の有意差を認めた。hs-CRP値は虚血性心疾患合併の有無 (合併群4.77±7.27mg/1, 非合併症群1.99±4.86, p<0.05) のみで有意差を認めたが, oxLDLは合併症の有無では有意差を認めなかった。近年, hs-CRPやoxLDLが血管合併症のマーカーに有用とされているが, 2型糖尿病の虚血性心疾患を含めた血管合併症の診断や評価において, LPCの測定はhs-CRPやoxLDLの測定と同等あるいはそれ以上に優れており, LPC測定の臨床的有用性が示唆された。 | 
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| ISSN: | 0370-5633 2187-4077  | 
| DOI: | 10.14921/jscc1971b.36.1_49 |