脾仮性嚢胞の2治験例

近年画像診断の発達により, 脾嚢胞症例の報告が増加し, その病像が明らかになるにつれ治療方針も変化してきている. 我々は最近脾仮性嚢胞2例を経験したので, 手術適応を中心に, 若干の文献的考察を加えて報告した. 症例1は左背部痛を主訴とする61歳女性で, 脾摘出術を行い, 径10cm多房性石灰化を有する脾仮性嚢胞であった. 症例2は腹部外傷後10ヵ月ころより胸腹部痛がみられた22歳男性で, bleeding mass, necrotic debrisを内容物とする径6×8cmの脾仮性嚢胞を摘出した. 脾嚢胞の手術適応については, 従来, 圧迫症状・嚢胞破裂・感染による膿瘍形成・悪性化などの可能...

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Published in医療 Vol. 45; no. 2; pp. 183 - 187
Main Authors 藤井, 秀治, 中田, 俊則, 武富, 賢治, 古川, 正人, 田代, 和則, 林, 〓欽, 梯, 昭彦, 草野, 敏臣, 高山, 隼人, 渡部, 誠一郎, 藤尾, 俊之, 宮崎, 哲真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.02.1991
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.183

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Summary:近年画像診断の発達により, 脾嚢胞症例の報告が増加し, その病像が明らかになるにつれ治療方針も変化してきている. 我々は最近脾仮性嚢胞2例を経験したので, 手術適応を中心に, 若干の文献的考察を加えて報告した. 症例1は左背部痛を主訴とする61歳女性で, 脾摘出術を行い, 径10cm多房性石灰化を有する脾仮性嚢胞であった. 症例2は腹部外傷後10ヵ月ころより胸腹部痛がみられた22歳男性で, bleeding mass, necrotic debrisを内容物とする径6×8cmの脾仮性嚢胞を摘出した. 脾嚢胞の手術適応については, 従来, 圧迫症状・嚢胞破裂・感染による膿瘍形成・悪性化などの可能性を考え, 全身状態が許せぱ摘出するとされていたが, 最近500g以下のより小さい嚢胞が安易に切除される傾向にあり, 手術適応の再検討が望まれる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.183