健診で偶然発見された瘢痕肝の1例

症例は35歳男性. 既往に特記すべきことはない. 平成4年4月下旬感冒様症状を自覚し内服薬治療を受けた. 同年5月14日住民健診で肝機能異常を指摘されたため当科入院となった. 入院時, 自覚症状はなく眼球結膜に軽度の黄疽を認めたのみであった. 肝機能検査でビリルビン, トランスアミナーゼ値が上昇し胆道系酵素の異常高値を認めたが, 肝炎ウイルスマーカー, 自己抗体はすべて陰性であった. 超音波検査では萎縮した肝右葉の内部に不整高エコー域を認め, 造影CTで萎縮した右葉に濃染がみられた. 腹腔鏡検査を施行し, 広範囲な板状陥凹と再生隆起から瘢痕肝と診断した. 組織学的所見では小葉変形はないものの小...

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Published in医療 Vol. 47; no. 5; pp. 358 - 362
Main Authors 牧野, 泰裕, 河野, 宏, 川口, 憲二, 山崎, 弘子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.05.1993
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.47.358

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Summary:症例は35歳男性. 既往に特記すべきことはない. 平成4年4月下旬感冒様症状を自覚し内服薬治療を受けた. 同年5月14日住民健診で肝機能異常を指摘されたため当科入院となった. 入院時, 自覚症状はなく眼球結膜に軽度の黄疽を認めたのみであった. 肝機能検査でビリルビン, トランスアミナーゼ値が上昇し胆道系酵素の異常高値を認めたが, 肝炎ウイルスマーカー, 自己抗体はすべて陰性であった. 超音波検査では萎縮した肝右葉の内部に不整高エコー域を認め, 造影CTで萎縮した右葉に濃染がみられた. 腹腔鏡検査を施行し, 広範囲な板状陥凹と再生隆起から瘢痕肝と診断した. 組織学的所見では小葉変形はないものの小葉中心部の帯状壊死と小葉内炎症細胞浸潤がみられた. 無自覚のうちに広範肝壊死から不完全修復を経て瘢痕肝を形成した症例と考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.47.358