Abdominal compartment syndrome と腹腔内感染の回避に vacuum assisted closure 療法が著効した1治験例 MSSA 腸腰筋膿瘍を契機とする感染性腹部大動脈瘤+左総腸骨動脈瘤に対する手術経験から

症例は68歳,女性.腰部から左側腹部,左鼠径部にかけての激痛および高熱を主訴に前医を受診した.CTで左腸腰筋膿瘍と腹部大動脈終末部周囲の低濃度領域を認めた.炎症所見高値で血液培養でMSSAが検出され,抗菌薬加療を行うが,経過中腹部大動脈終末部に仮性瘤を認めたため,当院に搬送となった.MSSA腸腰筋膿瘍を契機とする感染性腹部大動脈瘤+左総腸骨動脈瘤と診断し,右腋窩-両側大腿動脈バイパス後,腹部大動脈,両側総腸骨動脈の離断・結紮,および左腸腰筋膿瘍腔内大網充填術を行った.腸管および腸間膜浮腫が著明で閉腹不可能であったためvacuum assisted closure(VAC)療法とし,42日後6回...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 177 - 181
Main Authors 杉本, 努, 上原, 彰史, 春谷, 重孝, 山本, 和男, 吉井, 新平, 佐藤, 正宏, 滝澤, 恒基, 佐藤, 裕喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2010
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.39.177

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Summary:症例は68歳,女性.腰部から左側腹部,左鼠径部にかけての激痛および高熱を主訴に前医を受診した.CTで左腸腰筋膿瘍と腹部大動脈終末部周囲の低濃度領域を認めた.炎症所見高値で血液培養でMSSAが検出され,抗菌薬加療を行うが,経過中腹部大動脈終末部に仮性瘤を認めたため,当院に搬送となった.MSSA腸腰筋膿瘍を契機とする感染性腹部大動脈瘤+左総腸骨動脈瘤と診断し,右腋窩-両側大腿動脈バイパス後,腹部大動脈,両側総腸骨動脈の離断・結紮,および左腸腰筋膿瘍腔内大網充填術を行った.腸管および腸間膜浮腫が著明で閉腹不可能であったためvacuum assisted closure(VAC)療法とし,42日後6回目の手術で閉腹できた.経過中腹腔内感染は生じなかった.腸腰筋膿瘍に伴う感染性動脈瘤は非常に稀であり,また致死率の高い疾患である.VAC療法はabdominal compartment syndrome(ACS)回避だけでなく腹腔内感染回避にも有効である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.39.177