術前CTで診断しえた特発性中結腸動脈瘤破裂の1例

症例は62歳の女性で,腹痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで腹腔内液体貯留および中結腸動脈に動脈瘤の所見を認めた.中結腸動脈瘤破裂による腹腔内出血を疑い,その後ショック状態となったため緊急手術を行った.出血源が,中結腸動脈右枝の動脈瘤の破裂であることを確認し同血管を結紮・切除した.病理組織学的所見では中膜壊死を認めるのみであり特発性中結腸動脈瘤の破裂と診断した.術後経過は良好で第20病日に軽快退院となった.中結腸動脈瘤の破裂は,まれな疾患である.その治療法には,interventinal radiologyと開腹術があるが,個々の症例の全身状態に応じた治療法を選択することが肝要であると考えられ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 8; pp. 1031 - 1038
Main Authors 有我, 隆光, 尾崎, 正彦, 吉村, 清司, 大島, 郁也, 篠藤, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.1031

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Summary:症例は62歳の女性で,腹痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで腹腔内液体貯留および中結腸動脈に動脈瘤の所見を認めた.中結腸動脈瘤破裂による腹腔内出血を疑い,その後ショック状態となったため緊急手術を行った.出血源が,中結腸動脈右枝の動脈瘤の破裂であることを確認し同血管を結紮・切除した.病理組織学的所見では中膜壊死を認めるのみであり特発性中結腸動脈瘤の破裂と診断した.術後経過は良好で第20病日に軽快退院となった.中結腸動脈瘤の破裂は,まれな疾患である.その治療法には,interventinal radiologyと開腹術があるが,個々の症例の全身状態に応じた治療法を選択することが肝要であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.1031