重症心身障害児・者の摂食・嚥下障害に関する検討 口唇閉鎖能とむせ・咳き込みとの関連

この研究の目的は,重症心身障害児・者の口唇閉鎖能と誤嚥の一般症状であるむせ・咳き込みとの関連を検討することである。摂食・嚥下障害が疑われる3歳から55歳までの重症心身障害児・者92名を対象に捕食時,処理時,嚥下時,及び水分摂取時の口唇閉鎖の可否とむせ・咳き込みの有無について食事場面を評価し,以下の結果を得た。(1)取り込み時である捕食時,水分摂取時に口唇閉鎖が可能な者は処理時,嚥下時に口唇閉鎖が可能な者の約半数を占めていた。(2)捕食時,水分摂取時に口唇閉鎖が可能な者では処理時,嚥下時において口唇閉鎖の可能な者が不可能な者に比べ有意に多かった。(3)捕食時,水分摂取時に口唇閉鎖が可能な者は,む...

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Published in理学療法学 Vol. 30; no. 1; pp. 17 - 20
Main Authors 益野, 淳子, 佐藤, 典子, 郷間, 英世, 横井, 輝夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.02.2003
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00001019689

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Summary:この研究の目的は,重症心身障害児・者の口唇閉鎖能と誤嚥の一般症状であるむせ・咳き込みとの関連を検討することである。摂食・嚥下障害が疑われる3歳から55歳までの重症心身障害児・者92名を対象に捕食時,処理時,嚥下時,及び水分摂取時の口唇閉鎖の可否とむせ・咳き込みの有無について食事場面を評価し,以下の結果を得た。(1)取り込み時である捕食時,水分摂取時に口唇閉鎖が可能な者は処理時,嚥下時に口唇閉鎖が可能な者の約半数を占めていた。(2)捕食時,水分摂取時に口唇閉鎖が可能な者では処理時,嚥下時において口唇閉鎖の可能な者が不可能な者に比べ有意に多かった。(3)捕食時,水分摂取時に口唇閉鎖が可能な者は,むせ・咳き込みが有意に少なかった。つまり,取り込み時に口唇閉鎖が可能であれば,その後の処理時,嚥下時も口唇を閉鎖できる可能性が高く,むせ・咳き込みも少ないと言える。以上より,取り込み時の口唇閉鎖能は処理動作と嚥下動作に密接に関連し,むせ・咳き込みに重要な影響を与えているとことが示された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001019689