多発性内分泌腫瘍症1型に伴う縦隔内副甲状腺病変の一例:診断と手術アプローチ

多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)症例に縦隔内腫瘍を認めた場合,縦隔内副甲状腺腫やカルチノイド腫瘍などを考えるが,画像所見ではその鑑別診断は難しい。MEN1患者の縦隔内副甲状腺腫瘍を頸部操作のみで摘除できた症例を経験したので報告する。症例は68歳,男性。原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)に対し3腺摘除術(詳細不明)を施行された8年後にMEN1の診断で当院受診された。CTにて甲状腺右葉下極に接する1cm大の副甲状腺と思われる腫瘍と右上縦隔内に3cm大の腫瘤を認めた。縦隔内腫瘍は画像所見ではカルチノイド腫瘍との鑑別が困難であったため頸部操作の後に胸骨正中切開での腫瘍摘除を予定したが,頸部操作のみ...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 66 - 70
Main Authors 徳光, 宏紀, 永井, 絵林, 堀内, 喜代美, 岡本, 高宏, 鈴木, 留美, 坂本, 明子, 飯原, 雅季, 川真田, 明子, 名取, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2012
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.29.1_66

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Summary:多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)症例に縦隔内腫瘍を認めた場合,縦隔内副甲状腺腫やカルチノイド腫瘍などを考えるが,画像所見ではその鑑別診断は難しい。MEN1患者の縦隔内副甲状腺腫瘍を頸部操作のみで摘除できた症例を経験したので報告する。症例は68歳,男性。原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)に対し3腺摘除術(詳細不明)を施行された8年後にMEN1の診断で当院受診された。CTにて甲状腺右葉下極に接する1cm大の副甲状腺と思われる腫瘍と右上縦隔内に3cm大の腫瘤を認めた。縦隔内腫瘍は画像所見ではカルチノイド腫瘍との鑑別が困難であったため頸部操作の後に胸骨正中切開での腫瘍摘除を予定したが,頸部操作のみで両者を摘除することができた。病理組織診断はいずれも副甲状腺過形成であった。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.29.1_66