脳卒中患者の立位保持能力, 片脚立位能力, 起立能力からみた歩行の予後 入院時に歩行要介助者を対象として
本研究の目的は,脳卒中患者の歩行の予後予測因子としての,立位保持能力,開眼片脚立位能力および起立能力の有用性を明らかにする事である。対象は,当院入院時点では歩行に介助を要した患者81名(平均年齢63.9 ± 11.43歳)であった。入院時の立位保持能力,開眼片脚立位能力および起立能力と,退院時の歩行能力との関連を,発症からの期間が2ヶ月未満,2ヶ月以上3ヶ月未満,3ヶ月以上の3群に分類して,検討を行った。その結果,自立歩行の獲得が可能なのは,発症から2ヶ月未満では,立位保持能力が30秒以上可能な場合であった。また,3ヶ月未満では,片脚立位能力が両側で可能な場合,あるいは下腿長よりも低い台からの...
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| Published in | 理学療法学 Vol. 26; no. 7; pp. 283 - 288 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本理学療法士学会
30.11.1999
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0289-3770 2189-602X |
| DOI | 10.15063/rigaku.KJ00003131624 |
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| Summary: | 本研究の目的は,脳卒中患者の歩行の予後予測因子としての,立位保持能力,開眼片脚立位能力および起立能力の有用性を明らかにする事である。対象は,当院入院時点では歩行に介助を要した患者81名(平均年齢63.9 ± 11.43歳)であった。入院時の立位保持能力,開眼片脚立位能力および起立能力と,退院時の歩行能力との関連を,発症からの期間が2ヶ月未満,2ヶ月以上3ヶ月未満,3ヶ月以上の3群に分類して,検討を行った。その結果,自立歩行の獲得が可能なのは,発症から2ヶ月未満では,立位保持能力が30秒以上可能な場合であった。また,3ヶ月未満では,片脚立位能力が両側で可能な場合,あるいは下腿長よりも低い台からの起立が可能な場合であった。発症後3ヶ月以上では,片脚立位能力が両側において可能であり,かつ健側での片脚立位能力が2秒以上保持可能な場合,または下腿長の80%未満の台から起立が可能な場合と考えられた。以上の結果から,入院時に歩行に介助を要する脳卒中患者の場合,入院時に立位保持能力,片脚立位能力あるいは起立能力を測定する事は,自立歩行の獲得の可否を予測する手段として有用であると考えられた。 |
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| ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
| DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00003131624 |