血清蛋白分画における基準範囲の設定

基準範囲 reference interval は正常値に代わる言葉であり, 対象や手順を明記し, 共同利用を図ろうというものである. 今回の試みも共同利用が目的であり, 施設間における正常値の差および電気浸透のないセルロースアセテート膜の普及がきっかけとなった. 基準範囲の設定は2施設の検診例を対象とし, NCCLSの方法に準拠した. その結果, 年齢差, 性差, 喫煙, 飲酒および肥満の有無により若干の差を認めたが, 臨床判断に影響を及ぼすほどのものではなかった. また生理的条件や生活習慣を細かく分けて基準範囲を表すことは実地診療において非現実的であるため各蛋白分画に対して一つの基準範囲を...

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Published in生物物理化学 Vol. 41; no. 3; pp. 133 - 137
Main Author 松尾, 収二
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本電気泳動学会 15.06.1997
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ISSN0031-9082
1349-9785
DOI10.2198/sbk.41.133

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Summary:基準範囲 reference interval は正常値に代わる言葉であり, 対象や手順を明記し, 共同利用を図ろうというものである. 今回の試みも共同利用が目的であり, 施設間における正常値の差および電気浸透のないセルロースアセテート膜の普及がきっかけとなった. 基準範囲の設定は2施設の検診例を対象とし, NCCLSの方法に準拠した. その結果, 年齢差, 性差, 喫煙, 飲酒および肥満の有無により若干の差を認めたが, 臨床判断に影響を及ぼすほどのものではなかった. また生理的条件や生活習慣を細かく分けて基準範囲を表すことは実地診療において非現実的であるため各蛋白分画に対して一つの基準範囲を設けた. 基準範囲の共同利用を促すため, 日常検査において再現性の高い分析がなされ, かつ外部精度管理で良好な結果であること, といった簡単な条件が付記されることを望むとともに, 今後, 血清蛋白分画の基準範囲設定の共同作業がすすむことを期待する.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.41.133