地震リスクと保険プログラムの構築 補償ギャップと企業のリスクマネジメント・保険戦略

東日本大震災から10年が経過した。企業を取り巻く幾多のリスクの中で,自然災害,とりわけ地震リスクは日本の企業にとっては常に上位リスクとして有価証券報告書等に記載されてきている。地震リスクへの事前・事後対策としてのリスクマネジメントは,事業継続計画(BCP)などの軽減策や保険を含むリスクファイナンスによる転嫁・保有策があるが,後者のリスクファイナンスの利用率は日本企業全体の3割程度である。これは火災(財物)保険の加入率6割強に比べると低い状況である。本稿では,2017年7月に筆者が所属するマーシュが発行した“リスクファイナンスサーベイ分析レポート2017年版”の結果を元に,地震リスクを中心に日本...

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Published in保険学雑誌 Vol. 2022; no. 657; pp. 657_31 - 657_45
Main Author 平賀, 暁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本保険学会 30.06.2022
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ISSN0387-2939
2185-5064
DOI10.5609/jsis.2022.657_31

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Summary:東日本大震災から10年が経過した。企業を取り巻く幾多のリスクの中で,自然災害,とりわけ地震リスクは日本の企業にとっては常に上位リスクとして有価証券報告書等に記載されてきている。地震リスクへの事前・事後対策としてのリスクマネジメントは,事業継続計画(BCP)などの軽減策や保険を含むリスクファイナンスによる転嫁・保有策があるが,後者のリスクファイナンスの利用率は日本企業全体の3割程度である。これは火災(財物)保険の加入率6割強に比べると低い状況である。本稿では,2017年7月に筆者が所属するマーシュが発行した“リスクファイナンスサーベイ分析レポート2017年版”の結果を元に,地震リスクを中心に日本企業のリスクマネジメントやリスクファイナンスの問題点に触れ,保険転嫁が進まない理由を分析する。そして,日本企業にとって保険プログラムとリスクマネジメントの在り方を経験則に基づいて定性的に概説する。
ISSN:0387-2939
2185-5064
DOI:10.5609/jsis.2022.657_31