色変わりチューインガムによる義歯装着者の咀嚼能力測定の試み

目的: 咀嚼能力を簡便に測定するための色変わりチューインガムが開発された. 色変わりガムは2層からなるチャンク型で, 赤キャベツ色素を含む青紫色の層とクエン酸を含む白色の2層からなっている. この2層が咀嚼により唾液とともに混和されると, 青紫色の層に含まれる赤キャベツ色素が酸塩基反応により赤色に変化する. 本研究の目的は, その色変わりガムにより全部床義歯装着者の咀嚼能率を測定できる可能性について検討することである. 方法: 新しく全部床義歯が製作された27名の無歯顎患者 (男性6名, 女性21名, 平均年齢69.8±7.6歳) が実験に参加し, 諸調整終了1ヵ月後に実験は行われた. 被験者...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 45; no. 6; pp. 730 - 736
Main Authors 早川, 巖, 渡辺, 一騎, 平野, 滋三, 高橋, 保樹, 巫, 春和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.12.2001
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.45.730

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Summary:目的: 咀嚼能力を簡便に測定するための色変わりチューインガムが開発された. 色変わりガムは2層からなるチャンク型で, 赤キャベツ色素を含む青紫色の層とクエン酸を含む白色の2層からなっている. この2層が咀嚼により唾液とともに混和されると, 青紫色の層に含まれる赤キャベツ色素が酸塩基反応により赤色に変化する. 本研究の目的は, その色変わりガムにより全部床義歯装着者の咀嚼能率を測定できる可能性について検討することである. 方法: 新しく全部床義歯が製作された27名の無歯顎患者 (男性6名, 女性21名, 平均年齢69.8±7.6歳) が実験に参加し, 諸調整終了1ヵ月後に実験は行われた. 被験者は, 色変わりガムを咬み, 色変わりの度合いが5回ごとに歯科医によってチェックされた. ガムの色が完全に赤色に変化したことを専用のスケールにより判定し, そのときの咀嚼回数を記録した. 同時にManlyとBraleyの方法に従い, ピーナッツを用いて節分法による咀嚼値を算出した. Spearmanの順位相関係数を算出し, 統計学的解析を行った. 結果: ガム咀嚼回数と咀嚼値の平均と標準偏差はそれぞれ107.0±23.7および48.2±16.3であった. ガム咀嚼回数は咀嚼値に対し, 有意な負の相関関係を示した (ρ=-0.767, p<0.0001). 結論: 色変わりチューインガムが全部床義歯装着者の咀嚼能力の測定に有効であることが示唆された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.45.730