難治性腹水の臨床像とTIPS施行による病態の変化

肝硬変腹水患者52例を当科で定めた難治性腹水の診断基準に基づき, 治療反応性腹水26例, 難治性腹水26例に分け比較し難治性腹水の臨床的特徴を検討した.また, 難治性腹水のTIPS後の病態変化についても検討した.難治性腹水の特徴としては, 腎機能悪化とレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系, 交感神経系の亢進がみられ, 肝機能重症度の関与は少ないものと考えられた.また, 難治性腹水の発生に門脈圧高値が関与することが示唆された.TIPS後には, 類洞圧低下から肝リンパ漏出は抑制され, また, 門脈圧低下からarterial vasodilatationは改善し, 有効循環血液量の増加による神...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 9; no. 2; pp. 104 - 107
Main Authors 厚川, 正則, 長田, 祐二, 小泉, 信人, 金沢, 秀典, 木村, 祐, 滝, 保彦, 中塚, 雄久, 名知, 志子, 坂本, 長逸, 楢原, 義之, 片倉, 玲樹, 間宮, 康貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2003
Online AccessGet full text
ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph1999.9.2_104

Cover

More Information
Summary:肝硬変腹水患者52例を当科で定めた難治性腹水の診断基準に基づき, 治療反応性腹水26例, 難治性腹水26例に分け比較し難治性腹水の臨床的特徴を検討した.また, 難治性腹水のTIPS後の病態変化についても検討した.難治性腹水の特徴としては, 腎機能悪化とレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系, 交感神経系の亢進がみられ, 肝機能重症度の関与は少ないものと考えられた.また, 難治性腹水の発生に門脈圧高値が関与することが示唆された.TIPS後には, 類洞圧低下から肝リンパ漏出は抑制され, また, 門脈圧低下からarterial vasodilatationは改善し, 有効循環血液量の増加による神経体液因子亢進の改善, 腎血流量の増加がもたらされ, 尿量および尿中Na排泄量の増加を生じると考えられた.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph1999.9.2_104