ステロイド総投与量からみた小児潰瘍性大腸炎の適切な手術時期に関する検討
はじめに:小児潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)では成長障害が手術適応となることがあるが,明確な基準はない.そこで,手術症例から適切な手術のタイミングを検討した.方法:1984年~2008年12月までの小児手術30例を対象に合併症とステロイドの関連,さらに排便機能について検討した.結果:ステロイド総投与量は181.5(29.3~1,913.5)mg/kg,術直前投与量は0.7(0.1~1.8)mg/kg/dayであった.圧迫骨折,骨密度低下との関連はなかったが,成長障害は合併群で有意に発症年齢が低く(p=0.04),ステロイド総投与量は1,228.0(210~1,913...
Saved in:
| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 109 - 116 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.02.2011
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.44.109 |
Cover
| Summary: | はじめに:小児潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)では成長障害が手術適応となることがあるが,明確な基準はない.そこで,手術症例から適切な手術のタイミングを検討した.方法:1984年~2008年12月までの小児手術30例を対象に合併症とステロイドの関連,さらに排便機能について検討した.結果:ステロイド総投与量は181.5(29.3~1,913.5)mg/kg,術直前投与量は0.7(0.1~1.8)mg/kg/dayであった.圧迫骨折,骨密度低下との関連はなかったが,成長障害は合併群で有意に発症年齢が低く(p=0.04),ステロイド総投与量は1,228.0(210~1,913.5)mg/kgと非合併症例の151.8(29.3~1,020.9)mg/kgより有意に多かった(p=0.01).排便機能に関しては,晩期合併症のない症例では排便回数7(2~12)回/日,85.7%がほぼsoilingと良好だったが,吻合部瘻孔のため4例が人工肛門再造設,pouch 非機能症例となっていた.考察:ステロイド総投与量は成長障害合併症例で有意に多かった.成長障害合併の有無からみると,病態や骨端線閉鎖時期を考慮することが重要であるが,ステロイド総投与量200mg/kgという値が手術適応を決定する一つの目安になりうると考えた.晩期合併症の要因,対処に関しては今後も検討が必要である. |
|---|---|
| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.44.109 |